乳がんの検査は、どのような方法があるかご存知ですか？
乳がんは40代以降の女性で一番多いがんで、約半数の患者さんはセルフチェックで乳がんの兆候に気がついています。
乳がんは、早期発見・早期治療ができれば乳房を温存して根治も目指せるがんです。
この記事では、乳がん検査で知っておくべき以下の内容を解説します。
乳がん検診で行われる検査
乳がんのセルフチェック方法
乳がん検診を受ける頻度
正しい知識を持って、乳がんの早期発見・早期治療につなげる参考になれば幸いです。
監修医師：
小坂 泰二郎（医師）
順天堂大学附属順天堂医院卒業（同大学で学位取得）/ 現在は佐久総合病院、佐久医療センター勤務 / 専門は乳腺外科、手術および薬物治療に従事 / 前職場であった愛媛県四国中央市HITO病院で外来業務に従事している
【資格】
日本乳癌学会 専門医
日本臨床腫瘍学会専門医・指導医
ASUISHI ２期修了
乳がんとは？
乳がんは、乳腺の組織にできる腫瘍で、40代以降の女性がかかるがんとしては一番多いがんです。
乳腺自体は男性にも存在しているため、ごくまれに男性でも乳がんを発症することがあります。乳がんになる原因ははっきりとは不明ですが、以下の因子によって乳がん発症のリスクが高まるといわれています。
家族に乳がん経験者がいること
出産の経験がないこと
初潮が早く閉経が遅い
乳がんは女性ホルモンであるエストロゲンの影響が強いといわれており、エストロゲンの分泌が少なくなる妊娠や授乳を経験していない女性ではリスクが高まります。
また、生涯の月経回数が多いことも、乳がんのリスク因子です。
乳がん検診で行われる検査
乳がんは進行すると乳房の全摘手術が必要になりますが、早期発見できれば部分切除だけで治療可能です。
定期的な検査を受けて乳がんを早期発見し、乳がんと診断された場合は早めに治療しましょう。乳がん検診では、主に以下のような検査が行われます。
視診
触診
マンモグラフィ
超音波検査
病理検査
MRI検査・CT検査・骨シンチグラフィ・PET検査
腫瘍マーカー検査
それぞれの内容を解説します。
視診
視診では、乳房の表面にくぼみやただれがないか、乳頭から不自然な分泌物がないかなどを確認します。
大きな腫瘍や皮膚表面に近い腫瘍は、目で見て確認できる場合も少なくありません。
触診
触診では、乳房にしこりがないかなどを確認します。脇の下から乳房にかけてしこりがないかを確認し、不自然なしこりがある場合には大きさ、固さ、動くかどうかなどを調べます。
しこりが動くかどうかは、乳がんの進行具合や乳腺症との鑑別のために参考になる要素です。
マンモグラフィ
マンモグラフィは、乳がん検診の代表的な検査です。乳房をプラスチックの板で上下から挟み、薄く伸ばしてX線で撮影します。薄く伸ばす理由は照射するX線の量を少なくするためです。
マンモグラフィでのX線被ばく量は自然被ばくよりもはるかに小さく、悪影響を与えないように配慮されています。視診や触診では発見できない小さながんを発見するためにも、マンモグラフィは重要な検査です。
超音波検査
超音波検査は、乳房の表面に超音波探触子をあてて乳房内部にがんがないかを確認する検査です。
マンモグラフィよりも患者さんの痛みが少なく、被ばくの心配もありません。乳腺の密度が濃い高濃度乳房の方は、マンモグラフィより超音波検査が適している場合もあります。
病理検査
病理検査は、がんが疑われる細胞や組織を採取して、顕微鏡で分析する検査です。マンモグラフィや超音波検査で乳がんの疑いが強くても、病理検査をしなければ乳がんとは確定できません。
注射器や専用の針を乳房に刺して細胞を採取しますが、針の場合は局所麻酔をするため痛みは感じにくいでしょう。
MRI検査・CT検査・骨シンチグラフィ・PET検査
乳がんと診断された場合は、がんが全身に転移していないかを調べる必要があります。MRI検査とCT検査は、身体のなかを3次元的に撮影してがんの広がりや転移を調べる検査です。
CTはX線を利用し、MRIは磁気を利用するのが特徴で、検査の目的に応じて使い分けます。骨シンチグラフィとPET検査は、がんが骨や臓器に転移していないかを調べる検査です。特殊な薬剤を注射して全身に行き渡らせ、がんを目立ちやすくします。
これらの検査でがんの広がりと転移の有無を調べ、治療方針を決定していきます。
腫瘍マーカー検査
腫瘍マーカー検査は、血液中にがん細胞が放出する特殊なタンパク質がないかを調べる検査です。
乳がんの場合は、診断に利用できる特異的な腫瘍マーカーは発見されていません。しかし、がんが転移した場合や治療効果の測定のために、腫瘍マーカーが行われることもあります。
