「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」が、体の調子や健康維持に大きく影響することが分かってきています。これは「時間栄養学」と呼ばれる考え方に基づくもので、食事のタイミングを意識することで、エネルギーの利用効率や睡眠の質、体重管理に役立つとされています。本記事では、食事とタイミングについて解説します。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
食べ物とタイミングの関係を知ろう
食べる内容だけでなく「何をいつ食べるか」も、健康効果を左右する大事なポイントです。特定の食べ物は、摂る時間帯によってより良い働きを発揮する場合があります。
コーヒーは朝すぐよりも9〜10時がベスト
起床直後は「コルチゾール」という覚醒ホルモンが多く分泌されており、この時間帯にコーヒーを飲んでも効果が弱いとされています。むしろ9〜10時ごろに飲む方が集中力が持続しやすいと言われています。
果物は朝や昼に摂ると効率的
果物に含まれる果糖やビタミンCは、活動時間帯のエネルギー源や抗酸化作用として働きやすいです。朝食にオレンジやキウイを添えたり、昼食後にりんごを食べると効率的です。夜遅くに果物を摂ると血糖値の上昇を招きやすいため、日中に摂ることが望ましいです。
乳製品は夜に摂ると睡眠をサポート
牛乳やヨーグルトに含まれるトリプトファンは、睡眠ホルモンであるメラトニンの生成に関わります。夕食後や就寝前にホットミルクを飲むことで、入眠がスムーズになる人もいます。
魚のDHA/EPAは夕食で摂るとよい
青魚に多いDHA・EPAは、血中脂質の改善や脳の働きを助ける栄養素です。夜に摂ると就寝中に脂質代謝が働きやすく、心血管リスクの予防に役立つ可能性があるとされています。焼き魚や刺身を夕食に取り入れるのは理にかなっています。
甘いものは午後に取り入れるのが望ましい
午後は脳や体がエネルギーを消費しやすいため、どうしても甘いものを食べたい場合はこの時間が適しています。例えば「15時のおやつ」として少量の和菓子やフルーツを食べると満足感も得られやすく、夜の血糖値上昇を避けることができます。
カフェイン飲料は夕方以降は控えめに
コーヒーや緑茶は覚醒作用があるため、夕方以降に摂ると睡眠に影響を及ぼすことがあります。特に就寝の6時間以内は控えると、睡眠の質を守ることにつながります。
まとめ
食べ物の種類だけでなく「食べるタイミング」を意識することは、健康的な生活において大切な要素です。朝食を抜かないこと、昼食は炭水化物だけで済ませないこと、夜は遅すぎない軽めの食事にすることが基本のポイントです。さらに、果物は朝・昼、乳製品は夜、コーヒーは午前中、甘いものは午後など「食べ物と時間帯の相性」を知って取り入れると、より体に優しい食生活につながります。
特に夜は「デザートやアルコールの量とタイミング」に注意することで、体調管理や睡眠の質を守ることができます。毎日の習慣の中で「いつ食べるか」を工夫することが、体調を整え、長期的な健康の土台をつくります。
参考文献
第21巻第4号「生活習慣病の予防や改善を目指した時間栄養学」|オレオサイエンス
栄養・食育対策|厚生労働省
タイミングがすべて:規則正しい食事が健康をサポートする理由|Johns Hopkins University
