小児急性リンパ性白血病はどのような病気かご存じでしょうか。
小児がかかるがんのうち多く見られる病気で、症状が急速に進行して、短期間で命を落とすことも少なくありません。
適切な治療を続ければ長期生存率は高く、正しい情報をもとに冷静に対処することが大切です。
本記事では、小児急性リンパ性白血病の治療のために知っておくべき以下の内容を解説します。
小児急性リンパ性白血病の特徴
小児急性リンパ性白血病の再発や治癒の確率
小児急性リンパ性白血病の検査・治療方法
小児急性リンパ性白血病の早期発見・早期治療のために、参考になれば幸いです。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
滋賀医科大学医学部卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科
白血病について
白血病とは、血液中の血球細胞が正常に作られなくなり、異常な白血病細胞が増殖してしまう血液のがんです。造血幹細胞から血球が作られる過程で、未成熟の芽球のまま増殖して白血病細胞となります。血球は主に以下の3種類があり、不足すると生命の危機になることも少なくありません。
白血球:不足すると感染しやすくなる
赤血球:不足すると貧血になる
血小板:不足すると血が止まらなくなる
白血病は異常な細胞の増殖スピードによって、慢性と急性に分けられます。また、異常な細胞が増殖する部位によって、骨髄性とリンパ性に分類されています。
小児急性リンパ性白血病とは?
小児急性リンパ性白血病は、Acute Lymphoblastic Leukemiaの頭文字でALLと呼ばれ、リンパ節を由来とする白血病細胞が急速に増殖する病気です。
速やかに治療を開始しないと命に関わりますが、知見の蓄積に伴い、年々治療成績は向上しています。小児急性リンパ性白血病の特徴や、ほかの病気との違いを解説します。
小児急性リンパ性白血病の特徴
小児急性リンパ性白血病は、15歳以下の小児がかかるがんのうち一番多いがんで、年間400〜600人が発症すると報告されています。
感染・貧血・出血などの症状が急速に進行するのが特徴です。感染症が治りにくさや、重度の貧血症状などで受診したことをきっかけに発見されることが少なくありません。
急性骨髄性白血病
白血病は、正常な白血球が作られず、異常な白血病細胞が増殖する病気です。白血球には骨髄性のものとリンパ性のものがあり、骨髄性の白血病細胞が増殖する病気は、骨髄性白血病細胞と呼ばれています。
感染・貧血・出血などの症状は変わりませんが、白血病の種類によって治療方法が異なるため、識別は重要です。
前駆B細胞性・成熟B細胞性・T細胞性
リンパ性白血病は、異常細胞の由来によって前駆B細胞性・成熟B細胞性・T細胞性の3つに分類されています。
白血病細胞の種類によって効果的な薬剤が異なるため、血液検査や骨髄検査で鑑別します。白血病は長らく不治の病とされてきましたが、白血病細胞の分類と効果的な薬剤がわかってきたことで、治療可能な病気となりました。
再発のリスク
小児急性リンパ性白血病の長期生存率は約80%と報告されています。
残りの20%は、治療の副作用によるものが2〜3%で、それ以外は白血病の再発によるものです。再発した白血病は治療が難しく、予後不良となります。

