15歳以下に多い「小児急性リンパ性白血病」とは?再発リスクや検査法を医師が解説!

15歳以下に多い「小児急性リンパ性白血病」とは?再発リスクや検査法を医師が解説!

小児急性リンパ性白血病の検査方法

小児急性リンパ性白血病の検査は、がんの診断だけでなく、治療方針の決定のためにも重要です。
治療期間中にも、治療の効果を測定するために何度も検査を行うため、それぞれの役割を理解しておきましょう。小児リンパ性白血病で行われる、主な検査方法を解説します。

血液検査

小児急性リンパ性白血病は血液のがんであるため、血液検査を頻繁に行います。血液中の正常な血球細胞と異常な血球細胞を調べ、がんの進行度や治療効果を診断します。
一般的には白血球の数値が異常な高値となりますが、逆に低値となることも少なくありません。

骨髄検査

小児急性リンパ性白血病の検査で、血液検査とともに重要なのが骨髄検査です。骨の中心部にある骨髄には、髄液と呼ばれる液体が流れています。
髄液は脳までつながっており、白血病細胞は髄液にも侵入すると脳にまでがんが広がってしまいます。
骨髄検査では、局所麻酔をしてから腸骨や腰骨に穿刺を刺して髄液を採取し、白血病細胞の広がりを調べるのです。

遺伝子検査

血液検査や骨髄検査で採取した白血病細胞をより詳しく鑑別するために、遺伝子検査が行われます。
特に小児急性リンパ性白血病では、フィラデルフィア染色体と呼ばれる異常遺伝子の有無が、治療方針を大きく左右します。

小児急性リンパ性白血病の治療法

小児急性リンパ性白血病は血液のがんであるため、ほかのがんのように手術によって腫瘍を切除できません。
治療は薬剤による化学療法がほとんどですが、その内容は多岐にわたります。小児急性リンパ性白血病の主な治療方法を解説します。

多剤併用療法

小児急性リンパ性白血病で用いられる化学療法は、複数の薬剤を用いる多剤併用療法となることがほとんどです。一般的にはがん細胞の増殖を抑える抗がん剤と、異常白血病を殺す効果のあるステロイド薬が用いられます。
フィラデルフィア染色体が陽性の場合は、分子標的薬や細胞障害性抗がん剤などを使用します。抗がん剤は正常な細胞の増殖も阻害するため、副作用を抑えるための薬も併用することが少なくありません。

臨床試験

小児急性リンパ性白血病の治療成績は年々向上していますが、さらなる改良のために新しい治療法の研究も進められています。
患者さんの症状によっては、標準療法とは異なる、新たな治療法の臨床試験に参加できる場合もあります。
臨床試験のメリット・デメリットを比較して、参加希望することも検討してみてください。

メリット:標準療法以上の治療効果を得られる可能性がある

デメリット:期待した治療効果を得られない・想定外の副作用の可能性がある

臨床試験の参加条件や実施日程は随時更新されているため、通院している病院に確認してみてください。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植は、正常な血球を作るための造血幹細胞をドナーから移植する治療方法です。強力な抗がん剤は正常な造血幹細胞も殺してしまうため、強すぎる薬を使うと血液を作る力がなくなってしまいます。
造血幹細胞移植は、強力な抗がん剤と放射線治療によって白血病細胞を正常細胞ごと死滅させ、その後に正常細胞を移植して回復を図ります。小児急性リンパ性白血病は化学療法が進化しているため、造血幹細胞移植の適応となることはまれです。

中心静脈カテーテル

中心静脈カテーテルとは、鎖骨下や首の静脈に人工の管(カテーテル)を挿入する治療法です。
白血病の治療では血液検査を頻繁に行うため、そのたびに注射するのは患者さんに大きな負担となります。
中心静脈カテーテルを挿入することで、注射の回数を格段に減らし、薬剤の投与もカテーテルから行います。

配信元: Medical DOC

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