広がっている誤情報はほかにもある
――ソラレンに関する誤情報のほかにも、キウイに関する誤解はあるのでしょうか。西山:はい。特にタンパク質分解酵素である「アクチニジン」については、いくつかの誤解があるようです。
たとえば、「キウイにはタンパク質分解酵素であるアクチニジンが豊富に含まれている」という情報です。もしもキウイというのが、一般的に市販されているグリーンキウイだけを指すならば、正しい記述です。グリーンキウイには、1個あたりアクチニジンが250mg程度含まれており、これは酵素の含量としては相当多い部類に属します。
ただし、レインボーレッドや一部のゴールドキウイなどは、アクチニジンをほとんど含んでいません。そのため、キウイ全般に対して「タンパク質分解酵素であるアクチニジンを豊富に含みます。」と書くのは、厳密には間違いということになります。
また、「アクチニジンはキウイの皮の近くに多く存在する」というのも正しくありません。アクチニジンは果肉の緑色の部分に、ほぼ均一に分布しています。中央の白い部分には少ないのですが、皮の直下に特に多いという事実はありません。
根拠となる資料の開示を求めたが無回答
――一度拡散してしまった情報はたとえ誤りであっても完全に訂正するのは難しいです。西山:本来ならば、情報発信元であるテレビ局が責任をもって訂正とお詫びを公表すべきだと思います。しかし、現実には大きな健康被害が発生して、社会的な問題に発展したり、監督官庁からの指導が入ったりしない限り、訂正は望めないようです。
以前、私はソラレンに関する誤情報を放送したテレビ局に「キウイ果実にソラレンが含まれている」に関する根拠となる資料の開示を二度にわたって求めましたが、何の回答もありませんでした。

