最近はコンビニやスーパーで手軽にほっかほかの焼き芋を手に入れることができ、焼き芋大好きな子どもたちのおやつにしょっちゅう買っています。このおいしい焼き芋ですが、私は祖母といるときに、一度とても怖い経験をしたことがありました。
とにかく食べるのが早い祖母
私の母方の祖母はとにかく食べることが大好き。特に甘いものや味付けの濃いものが大好きで、目の前に置かれるとあっという間に食べてしまいます。また、お世辞にも食べる姿がきれいとは言えず、すするようにして食べるので、食事中の音も気になります。
娘である私の母は、自分の母親の食べる姿があまり好きではなく、それゆえに「自分の子どもはそうならないようにしよう!」と心に決めていたと、以前言っていました。また、私はそんな話を聞くよりもずっと前、幼いころに、「どうしておばあちゃんは、麺でもないのに音を立てて食べ物をすするの?」「おばあちゃんは食べ物をラーメンみたいに食べられるから、あんなに食べるのが早いの?」と母に聞いたことがあるそうで(私に覚えはまったくありません)、子ども心にも祖母の食べている姿は少し不思議な光景に映っていたようです。
そんな祖母の「高速すすり食べ」は年を取ってからも変わることはなかったのですが、年齢とともにどうしても弊害も出てきます。というのも、むせる回数が増えてきたのです。加齢による嚥下障害(えんげしょうがい:食べ物や飲み物をうまく飲み込めず、食べ物が気管に入ってむせるなどの症状が起こる)や、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん:食べ物や飲み物、唾液などが誤って気管や肺に入って起こる肺炎のこと)などという話を聞いたことがあったため、なるべくゆっくり食べるよう、母は一緒に食事をする場面で声かけを始めました。
おやつの時間が恐怖の時間に
ある日、母と一緒に祖母宅へ行きました。途中でスーパーに寄った際に、おいしそうな焼き芋を発見。祖母も好きだというので、おやつに食べようと多めに買って持って行きました。
焼き芋は1cmほどの厚さに切ってお皿に並べ、各自が手元の小皿に取って食べるようにしました。また、焼き芋は詰まりやすいこともあるので、水分は必須だと思い、ひとりずつ麦茶も用意。その日は祖母と母の好きなドラマの再放送がやっていたので、それを見ながら食べることに。途中、母が「ゆっくりね」と何度も声をかけ、そのたびにいったんはスピードが落ちるのですが、じきにまた元のスピードに戻ってしまいます。
そんなことをしながら食べていると、隣から「う」という小さな声がしたような気がしたので、声のするほうに顔を向けました。私の隣の席には祖母が座っていましたが、テレビを見ることもなく、相変わらずの食べ方とスピードで焼き芋を口の中に入れています。
気のせいかと思い、またテレビを見ながら食べ始めたのですが、じきに、「ぐっ」と小さな声。またそちらを見ても、相変わらず焼き芋をすすって食べる祖母の姿。しかし、それを数回繰り返したあと、突然、祖母が「ううーっ」とうなり声をあげながら首の辺りを押さえたのです。

