苦い思い出となった出来事
母が慌てて祖母の口を強引に開けさせてみたところ、中にはぎっちりと焼き芋が詰まっていました。お皿に置いてあったスプーンで口に入っている物をかき出しましたが、祖母は相変わらず「うーっ」という低いうなり声をあげています。慌てて、座ったままの祖母の肩の真ん中あたりを手でドンドンと叩くと、何度目かでごろんとお芋の塊が飛び出してきました。祖母は何度かせき込み、大きく息を吸ったり吐いたりを何度か繰り返し、「あー死ぬかと思った」とつぶやきました。そして、麦茶をごくごくと飲み干し、改めてため息をついていました。
その翌日、胸の痛みを訴えたため、念のため病院に行くことに。診断結果は誤嚥性肺炎でした。ただ、お医者さんの見解では、「原因が前日に食べた焼き芋かどうかはわからず、むしろ以前からじわじわと進行していた可能性が高いと思う」とのこと。吸い込むような祖母の食べ方は誤嚥性肺炎の原因になりやすく、しかも背中を丸めて食べていたので、リスクは大きかったとのことでした。「早めに気づけてよかったね」と言っていただけたのは救われましたが、母や私にとって苦い思い出となりました。
年寄りの窒息と言えばお餅だと思っていましたが、焼き芋やゆで卵などの詰まりやすいものはもちろんのこと、どんなものも原因になるのだと聞きました。背筋を伸ばした正しい姿勢で、ひと口の量を少なめにし、よく噛んで食べる。当たり前のことが誤嚥を防ぐ一番の方法だということです。
まとめ
死ぬ思いをした祖母本人は、実はまったくこのときのことを覚えていませんでした。しかし、覚えている母や私はその後、祖母や子どもの食事の際はより一層しっかりと様子を見るようになりました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:小沢ゆう/40代女性・主婦。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年10月)
シニアカレンダー編集部では、自宅介護や老々介護、みとりなど介護に関わる人やシニア世代のお悩みを解決する記事を配信中。介護者やシニア世代の毎日がハッピーになりますように!
シニアカレンダー編集部
「人生100年時代」を、自分らしく元気に過ごしたいと願うシニア世代に有益な情報を提供していきます!

