旧耐震住宅が抱えるリスク
写真:PIXTA
近年の大地震による倒壊の被害は依然として多く、そのほとんどが旧耐震の木造住宅です。
2016年 熊本地震:旧耐震の倒壊率28.2%
震度6強または7の地震が2回計測された2016年の熊本地震では、建物の被害が大きかった益城町中心部で、日本建築学会により被害状況の調査が実施されました。
調査の結果、旧耐震の木造住宅の倒壊率が28.2%(214棟)と高く、新耐震(1981年6月~2000年5月)では8.7%(76棟)、2000年6月以降の建築物では2.2%(7棟)と、新たな基準により倒壊が抑えられています。
<こちらの記事もよく読まれています!>→熊本地震に学ぶ 命を守る住宅の地震対策は「等級3」
2024年 能登半島地震:旧耐震の倒壊率19%
2024年の能登半島地震では、旧耐震の木造住宅の倒壊率が19.4%(662棟)でした。1981年~2000年の5.4%(48棟)、2000年以降の0.7%(4棟)と比較しても、やはり旧耐震の被害が突出して多いことがわかります。
旧耐震住宅には、地震火災のリスクもあります。能登半島地震では、輪島の朝市で大規模な火災が発生しました。建物が倒壊したときに電気の配線が傷つき、火災の原因になったと考えられています。
今後予想されている首都圏直下型地震が発生したときには、東京の下町などに広がる古い木造住宅密集地域で、大規模な火災が発生すると懸念されています。
住宅の耐震化には費用を要するものの、地震から命を守るために重要な対策といえます。旧耐震住宅には耐震化の助成金をはじめ、各自治体などの公共機関による支援が実施されている場合もあります。耐震化を検討されている方は、お住まいの自治体の情報を確認してみてください。
<こちらの記事もよく読まれています!>→能登半島地震ではどんな建物が壊れたのか?日本建築学会5700棟調査で見えてきたもの
