当時、私はプランナーとして大型ゲーム制作に携わっていました。順調に進むと思われていた開発は、気付けば混乱の渦中に。想像もしなかった役割と責任が、自分にのしかかってくることになるとは思いもしませんでした。
突然のディレクター兼任と、現場の混乱
私はAさんが担当していたディレクション業務の一部を支える立場でしたが、納期は何度も延期し、現場は不安と焦りが積み重なるばかりでした。そんな中、Aさんが姿を見せなくなり、全体の進行を把握していた私が急遽ディレクターを兼任することに。
クオリティ、スケジュール、人員、予算……どれも重く、逃げ道のない状況でした。必死で現状を整理する中、制作予算がすでに2億円の赤字に達していると知った瞬間は、全身の血の気が引きました。まるで自分が2億円の借金を背負ったかのような錯覚に襲われ、怖さで背筋が震えたのを今でも覚えています。
チーム再編と過酷な短縮スケジュール
立ち止まる余裕はなく、私はまずチームの再編に取り組みました。限られた時間の中でクオリティを落とさずに仕上げるため、工程を見直し、一人ひとりと向き合いながら効率を上げる工夫を続けました。
次第にチーム全体が同じ方向を向き、ぎくしゃくしていた現場にも一体感が戻っていきました。短縮されたスケジュールの中でも、スタッフの努力が形になっていくのを目の当たりにし、私自身が支えられていることを痛感しました。

