ただの「こり」だと思っていませんか?背中の痛みに隠れた危険な内臓トラブルを医師が解説

ただの「こり」だと思っていませんか?背中の痛みに隠れた危険な内臓トラブルを医師が解説

Q.背中の痛みが内臓の病気によるものの場合、痛みの出方・タイミング・深さにはどんな特徴がありますか

内臓痛は「体の奥の痛み」です。皮膚の表面を押しても痛みは増減しにくく、安静時にも続くという特徴があります。

解熱鎮痛剤で一時的に痛みが軽くなっても、原因が残れば再燃しやすいのも、内臓の病気が原因で起こる痛みの特徴です。

また、痛みの出方は臓器別に異なる特徴もあります。

・胆石:食後(とくに脂っこい食事)で右上腹〜右背部の痛みが強くなる
・すい臓:前屈でやや楽になり・仰臥位(ぎょうがい:仰向け)で痛みが悪化しやすく、帯状に背へ広がることがある
・腎結石:わき腹〜背部に「波のような強い痛み」が周期的に出現する
・胃・十二指腸:みぞおち〜背部に鈍痛が現れ、空腹時や夜間・食後で変動することがある

Q.背中の痛みで病院を受診する目安を教えてください。また、何科にかかればいいでしょうか

次のいずれかの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

・強い痛みや数時間から半日以上持続する背部痛
・発熱・吐き気・冷汗を伴う
・黄疸が見られる
・食後に悪化する痛みが繰り返される
・尿の濁りや血尿・排尿時痛がある
・体重減少を伴う
・夜間に目が覚めるほどの痛み
・胸痛や息切れを伴う激痛

とくに、最後の「胸痛や息切れを伴う激痛」の場合は、救急受診をしてください。

かかる病院は、内科(消化器内科・腎泌尿器科・総合内科)または整形外科がおもになります。症状の特徴によって、内科と整形外科のどちらを優先して受診すべきか判断できます。

食後や飲酒後に痛みが悪化する、発熱や吐き気などの全身症状を伴う、尿に異常がある、原因不明の持続する痛みがある場合は、内科(消化器内科・腎泌尿器科・総合内科)を優先します。

一方、症状が動作や姿勢で痛みが再現される、押すと痛みが出る、筋肉のこりが明瞭、しびれなど神経根症状の場合は整形外科を優先としていいでしょう。

どちらを受診すべきか迷う場合は、まず内科で鑑別を受けると安全です。

教えてくれたのは・・・
安江 千尋(やすえ ちひろ)院長
消化器病専門医・内視鏡専門医。がん専門病院であるがん研有明病院で豊富な臨床経験を積み、特に咽頭・食道・胃・十二指腸・大腸がんの早期発見・内視鏡治療を専門とする。大阪市にて「天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック」を開院し、すべての内視鏡検査を自ら担当。眠って受けられる苦痛の少ない検査や、患者に寄り添った丁寧な診療に定評がある。医療記事の監修や講演、地域への健康啓発活動にも積極的に取り組んでいる。

取材/文:山名美穂
編集:サンキュ!編集部

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