マネーセミナーなどに行くと、こうした話をよく聞きます。
36歳独身、元子役、フリーランス歴長し。私はいつなんどきも、私の人生をハッピーに生きてきておりますが、このプロフィールで頼れるものと言えばお金or不労所得です(ほぼ一択)。
そう思い、マネーセミナーに出てはみたものの、プロフェッショナルは「景気よく稼いで好きなものを食べ、がっちり資産運用をしましょう!」なんて言ってくれません。
女性は働き方や既婚かどうか、子育て中など、ひとりひとり環境の違いが大きいです。投資に回せるお金の余力なども違うため、プロがそんな無責任なことを言い放ったら問題になるでしょう。ただ、かつて「男性の領域」と思われていた不動産など、投資に挑む女性は、ここ最近増えています。どんな人にとっても自分の「虎の子」を持つことが安心をもたらしてくれるはず。
そんな時見つけたのが、かんき出版から2025年10月 20日に発売された『何があっても生き抜く私のお金の教科書』(トリ・ダンラップ著)。ビジネス・ポッドキャストして人気ナンバーワンを誇る『ファイナンシャル・フェミニスト』の司会であり、お金の専門家の著者が、「ファイナンシャル・フェミニスト」になるための方法をレクチャーする本です。家父長制に基づく女性のお金に関するネガティブなナラティブ(俗説)から解き放ち、自分で生きていく道を教えてくれます。私たちはアメリカと聞くと、カリフォルニアでキャミソールとホットパンツで闊歩したり、ニューヨークでコーヒーカップ片手にさっそうと歩いたりする自立した女性像をとっさに思い浮かべるかもしれません。
独立の精神を強く持つと言われるアメリカですら、いまだに家父長制にとらわれているというから、驚きでした。
「異性愛者の男性向け」に作られた社会
なぜ私たちはお金に対して考えられないのでしょうか。「お金の決断は、感情に左右される」。
著者のようなお金のプロでも、この感情のコントロールは難しいそうです。まずこのことを自覚することが第一歩。ストレス発散に食べるお菓子、欲しいという気持ちにだけで買った似合わない服、節約のために買ったけど使い勝手が悪い安いラップ……。誰しも何か覚えはあるでしょう。
そしてなぜか、(教わってもいないのに)社会は「お金をうまく扱うこと」を急に求めてきます。
家父長制に基づくこの社会は、女性など、ストレートかつシスジェンダーの白人男性以外の人向けに作られたわけではなかった。アメリカで生きる女性である著者・トリはこう語ります。異性愛者であり、性自認が男性向けに作られたという点で、日本も同じではないでしょうか。
「女性向け」に作られていない現代社会では、稼ぐ機会も男性より少なく、お金について知る機会が少ない。さらに、知識がないことが、お金について話す、助けを求めることが「恥ずかしい」と言われて抑圧されてしまう。
少なくとも私たちは、ひとりぼっちではない
私は株を始めたいと話したとき、男性に鼻で笑われた経験があります。私のお金でやるのですから、私が500万利益を出そうが損益を出そうが、その人にはまったく関係ないのに、です。加えて、女性は体の構造上、医療費含めた出費は多く、見た目に気を遣うことも「社会規範」として求められます。(しかも女性向けのものは男性向けより高い、通称「ピンク税」なるものも存在!)
・金融に関する知識を身につけづらい
・経済格差が存在し、収入は少ないのに必要経費は多い
という、買い物に行けないのにすっからかんの冷蔵庫を使ってフレンチのフルコースを作れと言われるような環境に置かれているわけです。
社会に対する不満や憤りを語ればとめどないですが、少なくとも私たちは世界にひとりぼっちではない。そう思うだけで、少し勇気がわいてきます。
とりわけ「恥」という強くて苦しい、強烈な感情と向き合うくだりにはページが割かれていて、ここだけでも読んでほしいと思うほどです、

