苦しいし、恥ずかしいけど、自分のためにお金と向き合う
海外旅行もたくさんしたいし、高級食材を食べたい。そんな欲望もあります。しかして女性がお金について、不安や恥に苛まされながら一生懸命考える根底は、もっと切実。「自分で生きる力を持つこと」の意義と意味を、資本主義社会に生まれ落ちて知っているからではないでしょうか。著者のトリも最終章で「お金は権力だからこそ、女性にもっとお金を手にしてもらいたい」という項目を書いています。
ウォール街初の女性株式ブローカーとなり、31歳で大金持ちになり、1872年に女性として初めてアメリカ大統領候補になった女性・ヴィクトリア・ウッドハルのエピソードも印象的でした。
彼女は「女性が稼ぐ力は、投票する力よりも、男性の独裁制や残虐性から身を守る防護になるから」として、大統領選に出馬したそうです。
私たちは経済的な状況も、家族関係も、何もかも違います。本の内容すべてを真似するのは難しいと思います(著者は1994年生まれで、親の介護や自分の健康問題、子どものことなどは本に登場しておりません)。
合わないと思う部分もあるでしょう。しかし、本にある「ホームワーク」に沿って1項目でも書いてみる、世の中にはこうした考え方をして、自分の力で立とうと生きている人がいると知ることは、きっとあなたを勇気づけてくれるはずです。
私も正直、読みながら何度も「恥」が襲ってきて本を投げ出すこともありました。ゆっくりと読み進めるのも、ひとつの本の読み方。焦らず、苦しみすぎず、今と未来の自分のために読んでみてほしいです。
実践してみれば、きっと何かが変わります。具体的には(何度も言いますが)、貯金通帳の残高などが!
<文/宇野なおみ>
【宇野なおみ】
ライター・エッセイスト。TOEIC930点を活かして通訳・翻訳も手掛ける。元子役で、『渡る世間は鬼ばかり』『ホーホケキョ となりの山田くん』などに出演。趣味は漫画含む読書、茶道と歌舞伎鑑賞。よく書き、よく喋る。YouTube「なおみのーと」/Instagram(naomi_1826)/X(@Naomi_Uno)をゆるゆる運営中

