
妻夫木聡が主演を務める日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系/TVerにて配信)の第8話が11月30日に放送された。相続馬限定馬主となった耕一(目黒蓮)だが、言葉にするのが苦手なことから栗須(妻夫木)らとギクシャクしてしまう展開になった。(以下、ネタバレを含みます)
■人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語
同ドラマは、山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞を受賞した早見和真の同名小説が原作。競馬の世界を舞台に、ひたすら夢を追い続けた熱き大人たちが家族や仲間との絆で奇跡を起こしていく、人間と競走馬の20年にわたる物語を描く。
妻夫木が演じるのは、大手税理士法人に勤める税理士から人材派遣会社・株式会社ロイヤルヒューマンに転職した栗須栄治。ほか、栗須の人生を大きく動かすロイヤルヒューマンの創業社長で競馬界では有名な馬主・山王耕造を佐藤浩市、栗須の元恋人で馬の生産牧場を営む野崎加奈子を松本若菜、耕造の隠し子・中条耕一を目黒蓮(Snow Man)が務める。
■“チームロイヤル”が解散の危機
耕造が亡くなり、耕一は相続馬限定馬主としてロイヤルファミリーを引き継ぎ、栗須は耕一のレーシングマネージャーとなった。ともに耕造の夢であった有馬記念での勝利に向かって歩み出した。ところが、そこに亀裂が入る展開に。
デビュー戦を華々しく勝利で飾ったロイヤルファミリーだが、その後の成績は振るわなかった。その流れを変えようと、耕一は調教師の広中(安藤政信)にジョッキーを隆二郎(高杉真宙)から交代させることを提案する。しかし広中はこれまでの経験からも反対をした。
そんなとき、栗須に勉強になると連れられて行ったセリ市で知り合い、交流している椎名展之(中川大志)に「継承なんて継がせたい側の自己満足だし、常識とかセオリーとかいいから、まずこっちのアイデアに耳傾けろってさ、思わない?」と言われる。さらに展之に招待してもらった「若手馬主の会」での“チームロイヤル”とは違う先進的な考えに触発される。展之は、耕造のライバル的存在でもあった椎名善弘(沢村一樹)の息子だ。
耕一は栗須に「もっと僕の味方をしてもらえませんか?みんなの間に立つんじゃなくて、こっちに立って、一緒に戦ってほしいんです」と訴える。栗須は「戦う相手はチームスタッフではありません」と諭そうとするが、その思いは通じなかった。耕一は改めてジョッキーを加奈子の息子・翔平(市原匠悟)にしたいとするロイヤルファミリーの方針について提案し、広中たちと対立。栗須にも「辞めてもらっても大丈夫です」と告げる。
■自分の思いを話した耕一に栗須がかけた言葉とは…
そんな中、翔平が連れて行く予定だった、栗須がセッティングした広中との食事会よりも展之と会う方を優先した耕一。その場で、亡き耕造をはじめ、みんなの夢としてロイヤルファミリーを勝たせなければならないプレッシャーを明かす耕一に、翔平は「甘えないでよ。みんな、そう、俺だってノザキを背負ってるんだよ。みんな何かを背負ってるんだ」と言った。翔平は、大手ではない個人の生産牧場出身であり、ロイヤルファミリーの父・ロイヤルホープを祖父が手掛け、耕造が競走馬として買ったときも知っているのだ。
その帰り、耕一は競馬を知る酔っ払いに絡まれて警察沙汰になってしまった。警察に迎えに行った栗須は「自覚に欠けています」と注意したが、実際は耕造をバカにされたことに怒った翔平が言い返し、騒動になりかけたところを、耕一が「ジョッキーがここにいたらまずい」と帰したのだった。
栗須は耕一を自分のいきつけの定食店に呼び出してそのことと、「社長(※耕造)ならばどうするか」とつい考えてしまっていたことも詫びた。すると耕一は耕造が亡くなる前に「これから大勢の人間がそれっぽい競馬界のルールを押し付けてくるだろう。でもお前はその世界の人間じゃない。純粋に馬を愛するだけの男だ。だから、迷ったら馬のことだけ、自分が信じたことを優先させろよ」と言われたことを打ち明ける。そのとおりにロイヤルファミリーのことだけを考えていたのだが、ファミリーにも自分にも“チーム”の必要性をちゃんと分かっていなかったのだと。
思ったことを言葉で表すことが苦手だった耕一は、あらためてみんなで夢をかなえたいとして「僕と一緒に戦ってもらえませんか」と言う。それに対し、栗須は「承知しました」と答えつつ、条件として「絶対に私を裏切らないでください」と願った。
「裏切らない」はかつて耕造が栗須に言った言葉だ。世代交代であるべきことは、ただ古い慣習を打ち破るだけでなく、継承されることの利点や大切なこともある。人を大切にする耕造が作り上げてきたものを栗須がつなぎ、耕一が花開かせる。不器用な2人の道筋がようやくできた。
耕造のなじみの店は高級天ぷら店だったが、今の2人にぴったりの雰囲気の店。ご飯の量を「大盛りで」と声がそろったのも、シングルマザーの家庭で育った耕一が食事のときに言う機会のなかった「おいしい」を言えたのもよかった。
SNSには「定食店のシーン泣いた」「新たな世代の確立と継承がどっちも見られた定食店」「耕一の『おいしい』にジーンとした」「定食店のシーンが本日のベストシーン」「裏切るなが継承されたのにグッときた」などの声が上がった。
■継承をしつつ新たな展開でクライマックスへ
耕一は広中にもう一度、思いをぶつけた。数年もすればロイヤルファミリーは引退となり、その後の暮らしのためには、ファミリー自身に賞金を稼いでもらうしかない。それも有馬記念で勝つことと同じくらい大切な目標だった。そして有馬で勝つのは2年後で、そのときには翔平は隆二郎と並ぶ活躍をしているはず。先を見越した耕一の考えに広中は賛同し、チームは再始動する。
その中から外れた隆二郎。ジョッキーはそういう仕事とはいえ、切ない。ただ、翔平はロイヤルファミリーに騎乗してから怒涛の3連勝を果たしたが、そこに立ちはだかったのが展之の馬に乗った隆二郎だ。展之はくったくなく耕一に「耕ちゃんが隆二郎を切ってくれたおかげで、いきなり最強のコンビを手に入れちゃった」と話した。その馬も、冒頭のセリ市で耕一がいいと思った馬だった。
そんな展之に耕一は「俺はファミリーがいればそれでいい。世代とか、最強とかどうでもいい。ファミリーと有馬で勝つ。それだけでいい。いてもいいだろ?こんな馬主も」と力強く言った。馬を、いや、ロイヤルファミリーを愛する耕一の姿と、その後ろでほほ笑む栗須が新たにどう戦っていくのか、期待が高まる。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

