日々の育児の中で、「どう接すれば理解してもらえるのか」「どんな配慮が必要なのか」と迷うことも少なくありません。自閉スペクトラム症やADHD、限局性学習症など、特性によって接し方が異なるため、具体的な工夫やサポートの方法を知ることが大切です。今回は、発達障害のある子どもとの関わり方について、専門家に解説していただきました。

監修公認心理師:
甘中 亜耶(公認心理師)
京都文教大学大学院 臨床心理学研究科修了。大学院修了後、発達相談を経験した後、2022年から児童精神科クリニックと保健所に勤務。精神疾患やメンタルヘルスに関して「正しい情報を分かりやすく伝える」をモットーにフリーランスのライターとしても活動している。
編集部
発達障害のある子どもとの関わり方について教えてください。
甘中さん
子どもの特性によって違うというのが大前提ですが、自閉スペクトラム症とADHDの子どもへの関わり方として代表的なものは、①話すときは短く具体的に伝える、②お手本や具体物、メモなど見て分かるものを添える、③事前に見通しを伝える、などが挙げられます。限局性学習症の子どもへは、①苦手な課題は量や時間を調整する、②急かさないなどの配慮があると安心感に繋がっていきます。また、「発達障害への関わり」と言われると、つい学力や能力アップに目が向けられがちですが、子どもが「理解してもらえた」と感じ、自尊感情を保っていけるような関わりが非常に大切です。
編集部
迷ったときはどこに相談すればいいですか?
甘中さん
これまで誰にも相談したことがない場合、日頃の様子を知っている担任を経由してスクールカウンセラーに相談するという方法があります。その他、病院(精神科もしくは小児科)や、自治体に設置されている発達に関する相談窓口が挙げられます。すでに受診したことがある人は、かかりつけ医への相談が良いでしょう。相談に当たって、気になることは事前にメモをまとめたり、写真や動画を持っていったりすると情報が正確に伝わり、言い忘れを減らすことができますよ。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
甘中さん
発達障害のあるお子さんの育児は、喜びや感動がある一方で、心配や疲れることがたくさんあると思います。お子さんについて考えることは大切ですが、保護者の方は自分自身もこと大切にしながら育児をしてほしいと思っています。そのためにも、気になることや不安があれば1人で抱え込まず専門家を頼ってくださいね。
※この記事はメディカルドックにて【子どもの発達障害が気になる方へ 発達障害の特徴や種類、接し方を解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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