祖母が体験した詐欺被害未遂のお話です。祖母宅は黒電話を使っていたのでディスプレイがなく、電話が鳴ったら出るという習慣でした。また商売もしていたので、お客様からの電話がありよく電話の鳴る家でした。
電話中、残念そうに呟いた祖母の言葉にゾッ!
ある日、祖母宅に子どもを連れ遊びに行くと、祖母が誰かと電話をしていました。よくよく聞いてみると祖母は「まあそれは大変ですね」とお客様に話すような演技がかった話をしていました。そして「それは本当に大変ですね」と言ったあと「あの世で事故に遭うなんて」としばらくの沈黙のあと、向こうから電話を切られたようでした。私と子どもは「??」と状況がわからずポカーンとしていました。
すると祖母が「じじが事故を起こして、相手が病院に運ばれたみたいなの。それで、じじが悪いから示談金を払わないといけないんだって」と笑っていました。じじ(私の祖父)はとっくに亡くなっていて、事故るわけがありません。
◇ ◇ ◇
詐欺師相手に合わせて話をし続け、最後に沈黙させる愉快な祖母だなと思いました。怖がってはいませんでしたが、面倒くさいと思ったようで、祖母は詐欺電話を受けてからディスプレイの出る電話に変えていました。
著者:すずきともこ/30代女性・会社員/ 結婚して9年目の1児子育て中の兼業主婦。医療福祉に従事。
イラスト:さくら
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年11月)

