全身性強皮症の治療
全身性強皮症を完治できる治療法は現在まだ開発されていません。
しかし、ある程度の効果が期待できる薬物療法として、ステロイド療法やシクロホスファミドパルス療法、プロトンポンプ阻害薬、プロスタサイクリン、ACE阻害剤、エンドセリン受容体拮抗剤などが挙げられています。
ステロイド療法
ステロイド療法は皮膚の硬化に対しておこなわれる治療で、1日20mg程度の量を投与します。免疫機能の低下や糖尿病などの副作用が起こる可能性がありますが、数週〜1ヶ月程度で症状の改善が期待できます。
シクロホスファミドパルス療法
シクロホスファミドは免疫抑制剤の一つで、皮膚の硬化や肺線維症に対して投与されます。
一定量以上を投与すると、がんを引き起こす可能性があるため、長期投与できないことが欠点です。
プロトンポンプ阻害薬
プロトンポンプ阻害薬は逆流性食道炎の第一選択薬で、胃から逆流した胃酸によって食道に炎症が起こるのを防ぎます。
プロスタサイクリン
プロスタサイクリンは血管病変に対する治療薬で、血行を良くしてレイノー現象や皮膚の潰瘍、手足の痺れなどを改善させます。
ACE阻害剤
ACE阻害剤は強皮症腎クリーゼが発症したときに投与して血圧を下げる薬です。
迅速に投与することで予後は改善しますが、透析療法に移行するケースも多くあります。
エンドセリン受容体拮抗剤
肺高血圧症にはボセンタンなどのエンドセリン受容体拮抗剤を投与します。
血管を収縮させるエンドセリンのはたらきを抑えて血液の流れを促し、血圧を低下させます。
全身性強皮症になりやすい人・予防の方法
全身性強皮症になりやすいのは中高年の女性で、男女比は1:9であることがわかっています。
(出典:公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」)
全身性強皮症の予防法はありませんが、発症した場合は日常生活で対策を心がけながら、症状の悪化を防ぎましょう。
レイノー現象を和らげるために手足を保温したり、肺線維症や肺高血圧症の悪化を防ぐために心臓や肺に負担がかかる動作を避けたりしましょう。逆流性食道炎が起こる場合は、できるだけ消化の良い食べ物を摂取するようにしてください。
関連する病気
逆流性食道炎肺線維症原発性胆汁性肝硬変強皮症腎クリーゼ
レイノー現象肺高血圧症
参考文献
難病情報センター全身性強皮症(指定難病51)
公益社団法人日本皮膚科学会皮膚科Q&A膠原病と類縁疾患
一般社団法人日本リウマチ学会全身性強皮症(SSc)

