痛風は、身体のなかに尿酸がたまり、関節に結晶ができることで突然強い痛みを引き起こす病気です。足の親指の付け根に出やすく、歩くことや眠ることが困難になるほどの痛みが続くことがあります。治療は、発作時の痛みを抑える薬と、尿酸値を下げて再発を防ぐ薬が中心です。さらに食事や飲酒の工夫、水分補給や適度な運動など生活習慣の改善を合わせることで、発作のない生活に近づけます。
この記事では、痛風の原因や治療薬の効果、副作用、服薬の注意点を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
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眼科(角膜外来)
痛風の概要と主な治療法

痛風とはどのような病気ですか?
痛風は、高尿酸血症という状態を背景にして起こる関節の炎症性疾患です。血液中に尿酸が過剰にたまると、やがて結晶が形成されて関節に沈着します。その結晶を異物と認識した免疫細胞が炎症を引き起こすことで、関節が赤く腫れ、突然強烈な痛みが生じます。典型的には足の親指の付け根に発作が出ますが、足首や膝などに起こることもあります。発作は夜間や早朝に突然現れることが多く、痛みは数日から1週間ほど続きます。治療をせず放置すると発作を繰り返し、関節に白いしこりができる痛風結節、腎障害や尿路結石につながる危険もあります。
痛風の原因を教えてください
痛風の原因は、体質や生活習慣など複数の要因が重なり合って生じます。尿酸は、プリン体という物質が体内で代謝される過程で生じる老廃物です。プリン体は肉や魚介類、アルコールに多く含まれますが、体内でも自然に作られています。食生活でプリン体を摂り過ぎたり、肥満や運動不足によって代謝が低下したりすると、尿酸値が上がりやすくなります。また、腎機能が低下すると尿酸をうまく排泄できず、血液中にたまりやすくなります。さらに遺伝的に尿酸をため込みやすい体質の方もいて、家族に痛風を発症した方がいる場合は注意が必要です。脱水や過度の飲酒なども発作を誘発します。
病院での痛風の治療法を教えてください
痛風の治療は、大きく急性期と長期管理に分けて行います。急性期には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチン、副腎皮質ステロイドを用い、まず強い痛みや炎症を抑えることが優先されます。これにより歩行や睡眠に支障をきたすほどの強い症状をできるだけ早く和らげることが目的です。
長期管理では、尿酸降下薬を用いて血清尿酸値を安定させる薬物療法を中心に、食事療法と運動療法を組み合わせていきます。食事療法ではプリン体を多く含む食品やアルコールを控え、水分を十分にとり、体重を適正に保つことが基本です。運動療法としては、無理のない有酸素運動やストレッチを継続することで代謝を改善し、薬の効果が安定しやすいです。
痛風の治療に用いられる薬の種類と効果

痛風を完治させる薬はありますか?
痛風を完全に治す薬は現時点では存在しません。しかし、尿酸値を適切に管理することで、発作を繰り返さずに過ごすことができます。尿酸降下薬を服用して尿酸値を安定させれば、新しい結晶は作られにくくなり、すでに体内に沈着している結晶も少しずつ溶けていきます。その結果、数年間にわたって発作が起こらない状態を維持できることも珍しくありません。つまり、完治という言葉は使えないものの、症状のない安定した生活を取り戻すことは十分に可能です。
痛風の発作を抑える薬の種類を教えてください
痛風の発作を繰り返さないように予防するには、尿酸値を下げて安定させる薬が使われます。代表的なのはアロプリノールやフェブキソスタットといった尿酸生成を抑える薬、ベンズブロマロンなど尿酸の排泄を促す薬です。これらは血清尿酸値を6mg/dL未満に維持し、結晶ができにくい状態を保つことを目標とします。尿酸値が安定すれば、強い痛みを伴う発作の再発や、関節の変形・腎障害といった合併症のリスクを減らすことができます。また、尿酸降下薬を新しく開始した直後は発作が起こりやすいため、数ヶ月間は少量のコルヒチンやNSAIDsを併用して発作予防(コルヒチンカバー)を行うこともあります。
参照:
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』(日本痛風・核酸代謝学会)
『高尿酸血症・痛風の診断と治療』(山中 寿、日本内科学会雑誌, 2015, 104巻, 9号, p. 2039-2045)
痛風の発作中に服用する薬にはどのようなものがありますか?
発作時には、まず痛みと炎症を抑える薬を使います。NSAIDsは速やかに症状を和らげ、コルヒチンは初期に服用すると炎症の悪化を防ぎます。副腎皮質ステロイドはNSAIDsが使えない場合や症状が強い場合に選ばれ、内服薬や関節内注射として使われることもあります。これらはいずれも尿酸値を下げるのではなく、あくまで痛みや腫れを抑えることを目的としています。
なお、日本のガイドラインでは発作中に尿酸降下薬を新たに始めることは控えるとされています。ただし、米国のガイドラインでは条件付きで開始を認める考え方も示されており、実際の診療では発作中に開始される場合もあります。
参照:
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』(日本痛風・核酸代謝学会)
『2020 American College of Rheumatology Guideline for the Management of Gout』(American College of Rheumatology)
痛風の薬はいつまで飲み続けるのですか?
尿酸降下薬は、尿酸値を長期にわたって安定させるために続けて服用する必要があります。症状が落ち着いたからといって自己判断でやめてしまうと、再び尿酸値が上がり発作を繰り返すおそれがあります。多くの場合は生涯にわたって飲み続けることを前提に考える必要がありますが、生活習慣を整えることで医師が中止を検討できる場合もあります。重要なのは、必ず医師の判断に基づいて服薬の調整を行うことです。

