最近、疲れやすさや気分の不安定さを感じていませんか? それは甲状腺ホルモンの乱れが原因の可能性があります。甲状腺の不調は「年のせい」と見過ごされることも少なくありません。放置すると心不全や脳梗塞、心筋梗塞など深刻な病気につながることもあるため、早期発見と正しい対応が大切です。今回は、甲状腺異常の症状やリスクについて向笠先生に解説していただきました。

監修医師:
向笠 浩司(よこすか甲状腺内科クリニック)
1995年横浜市立大学医学部卒業。同大学大学院修了。2001年に米ハーバード大学Brigham and Women’s Hospitalに留学。帰国後は横浜市立大学附属病院講師や伊藤病院内科医長、中島内科クリニック副院長を歴任。2021年より現職。日本甲状腺学会専門医、日本内分泌学会専門医、日本内科学会総合内科専門医。横浜市立大学医学部および聖マリアンナ医科大学非常勤講師。
編集部
甲状腺異常があると、どのような症状が出るのですか?
向笠先生
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されたり、不足したりすることがあります。過剰に分泌されると、代謝が活発になりすぎてしまい、動悸や手の震え、異常な発汗などの症状が現れます。また、気分が高ぶりやすくなるため、些細なことでイライラしたり感情が不安定になったりすることもあります。一方で、甲状腺ホルモンが不足すると、疲労感が増し、体がむくみやすくなるほか、記憶力の低下や体重増加といった症状が出ることがあります。
編集部
これらの症状に気づかない場合もありますか?
向笠先生
はい。特に症状が「疲れやすい」だった場合、「年のせい」と見逃されがちです。さらに、甲状腺の腫れが自覚できない場合もあるため、触診や検査で偶然見つかるケースもあります。定期的な健康診断を受けることで早期発見のチャンスが広がります。
編集部
症状に気づいた場合、放置するとどのようなリスクがありますか?
向笠先生
甲状腺ホルモンが過剰な場合、心臓への負担が増え、最悪の場合、「心不全」を引き起こす可能性があります。また、極端な過剰状態では「甲状腺クリーゼ」という命に関わる危険な状態に陥ることもあります。一方で、ホルモンが不足すると、脂質異常や動脈硬化が進行しやすくなり、「脳梗塞」や「心筋梗塞」のリスクが高まります。さらに、甲状腺腫瘍が悪性だった場合、転移や臓器浸潤を引き起こすこともあるため、早期の対応が欠かせません。
※この記事はメディカルドックにて【疲労感や記憶力低下は甲状腺が原因かも!? 甲状腺異常を放置してはいけない理由を医師が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
あわせて読みたい
- 「高血圧の人が避けたい食べ物」はご存知ですか?予防法を解説!【医師監修】
──────────── - 「頸部食道がん」になると喉にどんな症状が現れるかご存じですか?医師が解説!
──────────── - 「ビタミンEの効果」は何かご存じですか?不足した時に現れる症状も管理栄養士が解説!
────────────

