
デップにとっての絵画は、映画や音楽で名声を得る以前からの聖域であり、思索や逃避の場だった。そしてスケッチやシルクスクリーンの実験であふれた彼のスタジオは、創造性が自由に流れるプライベートな空間だった。
そんな彼の“アトリエの雰囲気”を体験できる本展。今回米国外では初めて、100点以上の作品や私物、貴重なアイテムが、デップのスタジオや自宅から東京に運ばれた。




30年以上前に制作された自画像から最近の表現豊かな作品まで、一点一点が、彼の経験、感情、想像力の断片を映し出している。その中でも特に注目したい本展の目玉は、東京限定の展示として特別にデザインされた没入型空間だ。
展示の中心に位置する“ブラックボックス”内で、映像化したデップの絵画が駆け巡るのがポイント。映画のような音響とアニメーションに包まれる空間で、来場者は“ジョニー・デップの創造的宇宙”へと誘われる。





デップは、「自分は絵描きではないかもしれないけれど、絵を描く人間だっていうところを人に見せてもいいのではないか?と考えました。そして、非常に抽象的な形ではあるんだけど、僕が描くパーソナルなことを自分の思う形で表現したのが今回の展示です」とコメント。
続けて、「絵を描くということは、自分にとっては実験のようなもの。それと同時に、現実逃避でした。目の前にあることから自分を1度切り離すための逃避であり、瞑想的な時間なんです。レッスンを受けたりはしなかったんですけど、絵を描くうえでのさまざまなテクニックというのは、さまざまな人を見たり、人に聞いたり、本を読んだりして理解するようになりました。絵を描くということも、演技と同じで“表現”であることは変わりません。自分を安定させるためにはなくてはならないもので、もしこれがなければ自分の脳が爆発してしまうんじゃないか?と思うほど。自分にとっては欠かせないものになりました」と語った。




最後に、「米国外の同展の初開催地として日本を選んだ理由」を問われると、「ほかにも候補地はいくつかありましたが、東京は、とにかく何百年もの間一貫して素晴らしいアートを世界に発信してきた土地だと思っているからです」とデップ。
「東京は、それぞれが感性を持っていて、アートやアーティストをすごく大事にする場所。自分のことをアーティストだとは決して思っていなくて、単に絵を少し描く人間…なのですが。このチャレンジを受け入れてくれてすごく光栄です」と笑顔を見せていた。



取材・文=平井あゆみ
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