きれいな貝殻をもらってから子どもの様子がおかしい。漫画「水ムーちゃんねる 隣の晩怖談」では、作者の水村友哉さん(@gontanopoo)が実際に聞いた・集めた・体験した「実話怪談」を描く。今回は、第23談より「貝殻の呪物」を紹介するとともに、水村さんに制作の経緯を聞いた。
■夜中に突然しゃべり出し、舌を突き出して硬直



今回紹介する「貝殻の呪物」は、コミックス第4巻に収録されている実話だ。水村さんの知人から紹介された鈴森さん(仮名)と、その娘・あやのちゃんの実体験が基になっている。
見どころについて水村さんは、「あやのちゃんがある『貝殻』をもらってから、原因不明の高熱が続いたり、夜中に突然何かを喋り出したかと思うと、舌を顎の下まで突き出して硬直したりするなど、不可解な現象が続いたことです」と語る。
さらには「ベランダにお婆さんがいる」と言い出すようになるが、部屋は10階の角部屋。ベランダに誰かがいるなんてことは考えられない。奇妙な現象はよく考えると、貝殻をもらってからだと母親は気づく。子を持つ親なら覚えておいたほうがよい。石や葉っぱ、その地にあるものをむやみに持ってきてはいけないのだ。
■取材で感じた4歳児の「視える」力
描くにあたって、水村さんは実際に鈴森さんとあやのちゃんに会って話を聞いたそうだ。
「4歳のあやのちゃんは、人懐っこくて元気で、とてもかわいらしい子でした。ただ、僕の背後に『女の人がいる』と言ったりと不思議なことを淡々と話す子でもあり、『この子はいろいろ視えているのかもしれない』と感じました」と振り返る。
漫画内では伏せているが、このエピソードの舞台となった駅や地名は、昔から悲しい歴史がある場所だという。「それとあやのちゃんが視たものが不思議とリンクしていたからです。わかる方にはその“気配”を感じていただきたいですし、わからない方にも『こういうことって本当にあるんだ』と思いながら読んでいただけたらうれしいです」と水村さんは語る。
■きっかけは水木しげる、「都市ボーイズ」との縁も
水村さんがホラー漫画を描くようになったきっかけは、水木しげるさんの「ゲゲゲの鬼太郎」だ。「鬼太郎が大好きで妖怪やお化けの絵をよく描いていました。それが大きな軸となり、小学生の夢は漫画家。本当に時間はかかりましたが、現在こうして実話怪談漫画を描かせていただいている感じです」と、子どものころからの夢を叶えた喜びを語った。
また、この話は怪奇ユニット「都市ボーイズ」のYouTubeチャンネルでも朗読されており、そこで初めて紹介されたエピソードだったという。「まさか、投稿者ご本人と直接つながって話が聞けるとは思ってもいませんでした」と驚く水村さん。「都市ボーイズ」はコロナ禍に漁るように観ていたYouTubeチャンネルのひとつで、縁あってコラボが実現した。動画では問題の「貝殻」も紹介されているそうだ。
コミックス第4巻には、オカルトや心霊好きならご存知の有名な方の体験談や、水村さん自身が直接聞いた実話を収録している。「ただ怖いだけでなく、日常に潜むリアルな恐怖を描いていますので、『心霊はちょっと苦手だけど、興味はある』という方にも、読みやすい内容になっています」とアピールした。
取材協力:水村友哉(@gontanopoo)
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