フレイルチェストの治療
治療には、慎重な呼吸管理や疼痛管理が重要です。
発症直後に、緊急の対応としてロール状のタオルでまいたり半周テーピングするなどの一次対応をすることもありますが、その後は適切な方法で患部を固定して治療します。人工呼吸器による呼吸管理や、外科的手術がおこなわれる場合もあります。
呼吸管理
軽度のフレイルチェストであっても、呼吸状態のモニタリングは慎重におこない、必要に応じてNPPV(非侵襲的陽圧換気)などを適用します。
肺挫傷を併発しているような重度のフレイルチェストでは、気管挿管後に人工呼吸器を用いた管理をおこないます。
疼痛管理
フレイルチェストの治療では痛みをしっかりと管理することが、自発呼吸や鎮静を助け、患者の回復につながります。
強い痛みを和らげるために、硬膜外ブロック注射やオピオイド系鎮痛薬(モルヒネ、フェンタニルなど)非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが用いられます。
ただし、これらの疼痛管理では副作用のリスクを鑑み、使用期間や用量に注意する必要もあります。
手術
フレイルチェストの治療では、肋骨の不安定性を解消し、胸郭を安定させるために外科的手術が行われることがあります。
手術法には、金属バーを胸部に入れて固定するNuss法、プレートやねじで固定する観血的整復固定術(SSRF)、開胸を伴わない肋骨固定用プレートなどがあります。
呼吸リハビリテーションと再発防止
治療後は呼吸筋力などが低下しており、合併症などにも注意が必要です。したがって、フレイルチェスト から回復しても、呼吸リハビリテーションを継続し、呼吸機能の回復に努めることが大切です。
特に高齢者の場合や、損傷が大きかった場合、フレイルチェストは容易なきっかけで再発する恐れもあります。再発防止のための安全対策や、しっかりとしたリハビリテーション、経過観察が必要です。
フレイルチェストになりやすい人、予防の方法
フレイルチェストは、災害や事故の際には、世代や性別に関わらず発症する可能性があります。高齢の人や骨粗鬆症患者など骨が弱くなっている人や、骨が未発達な幼児などが事故にあった場合は、発症リスクが高いと言えるでしょう。
また、スポーツ、アウトドア活動、運転、高所での作業など、胸部に強い衝撃を受ける可能性がある人はリスクにじゅうぶん注意し、安全対策を徹底するべきです。
偶発的な事故を完全に防ぐことは難しいですが、それぞれの環境で適切な安全対策がとられることで、フレイルチェストの発症や重症化を免れる可能性があります。
高齢者施設における転倒防止措置、自動車のシートベルトやエアバッグ、スポーツにおける防具やプロテクターの着用などが、安全対策の一例です。
関連する病気
肋骨骨折緊張性気胸
血胸
肺挫傷
漏斗胸肺炎皮下気腫ARDS
参考文献
日本救急医学会医学用語解説集フレイルチェスト
フレイルチェストを呈した重症胸部外傷患者に対し手術加療を行った1例/整形外科と災害外科/70巻(2021)1号/p.160-163
外傷患者における疼痛管理/日本集中治療医学会雑誌/25巻(2018)6号/p421-429
胸部外傷や気管支喘息など救急疾患における NPPV 療法/人工呼吸/第31巻(2014)2号/p162-166

