●最近の裁判例の傾向は?いくらくらい慰謝料が認められている?
近年の慰謝料請求が認められたケースをいくつかご紹介します。
東京地裁判決(令和元年〔2019年〕12月23日)は、男性が積極的に独身であるという嘘をついて女性と交際し、結婚への期待を抱かせて約5年間にわたり交際して定期的に性交渉をもった事案です。
この事案では、裁判所は婚約破棄にはあたらない事案であると認定しつつ、貞操権、人格権の侵害として100万円の慰謝料を認めました。
東京地裁判決(令和2年〔2020年〕3月2日)は、婚活サイトで知り合った男性が、実は既婚であったが独身者を装って女性と性的関係を持った事案です。
この事案では、男性は女性と知り合った当時から既婚者であったが、約半年間の間に複数回の性交渉があったとして、50万円の慰謝料の支払いを命じています。
東京地裁判決(令和3年〔2021年〕11月26日)は、男性が既婚者であることを隠して婚活アプリで女性と知り合い、妊娠出産までさせている事案です。
この事案は、女性の妊娠を知った男性が出産後の子育ての話をしたり、その後の生活についての話をしていることなども認定されており、200万円の慰謝料の支払いを命じています。 (なお、このケースでは別途生まれてきた子どもの養育に関する費用の支払いなどが問題になると思われます。あくまで貞操権侵害などに対する慰謝料が200万円という意味です)
●女性側が、妻から責任追及される危険は?
独身偽装の被害を受けた女性の中には、男性の妻から「不貞行為である」として損害賠償を請求されるのではないかと不安に感じる方も多くいらっしゃるようです。
相手が既婚者であることを知らずに交際していた場合、「故意」も「過失」も認められず、妻からの損害賠償請求は認められない可能性が高いです。
注意すべきなのは、相手が既婚者だと分かった後も、離婚してくれることを期待するなどして交際を継続してしまった場合です。この場合には、既婚者だと知った後の性交渉については不貞行為として損害賠償を請求される可能性があります。

