網膜静脈閉塞症の治療
網膜静脈閉塞症を根本的に治癒させる治療法はありません。視力の低下を引き起こす黄斑のむくみがある場合では、レーザー治療や副腎皮質ステロイドの局所注射、「抗VEGF療法」などが行われます。
レーザー治療
むくみをきたしている黄斑部にレーザーを照射する治療法です。レーザーを当てることで黄斑のむくみが改善するケースがある一方、正常な網膜にも影響を及ぼすリスクがあるため、慎重に適応を判断して行います。
副腎皮質ステロイド局所注射
炎症を抑える作用のある副腎皮質ステロイドを網膜に直接注射する治療法です。炎症を抑えることで黄斑のむくみ改善が期待できますが、白内障や緑内障などの発症リスクがあります。
抗VEGF療法
「血管内皮増殖因子(VEGF)」を抑える眼内注射を行う治療法です。
網膜静脈閉塞症では、詰まった血管の代わりに新しい血管(新生血管)が異常に増殖して血管内皮増殖因子が産生されます。新生血管は非常にもろいため、容易に出血して水分が漏れ出し、黄斑がむくむ原因になります。
抗VEGF療法では、血管内皮増殖因子の働きを抑えることで新生血管の増殖を防ぎ、黄斑のむくみを改善させる効果が期待できます。ほかの治療法と比べ副作用のリスクが低いうえ、比較的早期に症状の改善が期待できます。
網膜静脈閉塞症になりやすい人・予防の方法
高血圧や糖尿病、脂質異常症がある場合や、緑内障、遠視がある場合は、動脈硬化をきたして網膜静脈閉塞症を発症するリスクがあります。これらの疾患に対して適切な治療を受け、悪化を防ぐことが網膜静脈閉塞症の予防につながります。
高血圧や糖尿病、脂質異常症は、いずれも遺伝的な要因に加え、偏った食生活や運動不足、肥満、過度の飲酒、喫煙習慣などによって発症します。
発症予防や重症化予防のためには、以下のことを心がけましょう。
規則正しい食生活
適度な運動
節度ある飲酒
禁煙に取り組む
遠視には遺伝的な要因によるものもありますが、多くは原因不明です。定期的に眼科検診を受けて早期発見と予防に努めるほか、発症している場合は定期的に経過観察を受け、適切な治療を継続することが重要です。
緑内障は、高血圧や糖尿病、遺伝、加齢などの要因によって発症することがあります。高血圧などの生活習慣病と同様、規則正しい生活習慣を心がけることが重要です。
関連する病気
動脈硬化高血圧糖尿病脂質異常症遠視緑内障虚血性視神経症
参考文献
公益社団法人日本眼科医会「網膜静脈閉塞症と診断されたら」
難病情報センター「網膜色素変性症」
厚生労働省e-ヘルスネット「動脈硬化」
一般社団法人日本予防医学協会「眼底検査」
国立研究開発法人国立循環器病研究センター「高血圧」
公益社団法人千葉県栄養士会「糖尿病の予防と食事」
厚生労働省e-ヘルスネット「脂質異常症(基本)」
公益社団法人日本眼科医会「子供の遠視」
公益社団法人日本眼科学会「緑内障」
公益社団法人日本眼科学会「網膜静脈分枝閉塞症」
公益社団法人日本眼科学会「網膜中心静脈閉塞症」

