肝臓がんの治療
肝臓がんの治療法について以下で詳しく解説します。
肝切除
肝臓がんの治療での肝切除は、がんと周囲の肝組織を手術で取り除く方法です。
肝切は、がんが肝臓内にあり、3個以下の腫瘍がある場合に推奨されます。
脈管への広がりがあっても可能ですが、腹水がある場合は肝不全のリスクが高まるため、ほかの治療法が考慮されます。
ラジオ波焼灼療法
ラジオ波焼灼療法は、針を腹部の皮膚からがん組織に直接挿入し、高熱を発生させてがん細胞を局所的に焼き滅する治療法です。
10〜30分程度で行われ、局所麻酔と鎮痛剤を使用して患者さんの不快感を軽減し、腫瘍を小さくします。
肝動脈化学塞栓術
肝動脈化学塞栓術(TACE)は、抗がん剤と油性造影剤を混ぜた薬剤を肝動脈に直接注入し、その後塞栓物質で動脈を塞ぐ治療法です。この方法でがん細胞への血流を遮断し、薬剤によってがん細胞を死滅させます。
Child-Pugh分類
肝臓がんの治療方針を決定する際、Child-Pugh分類は以下のように活用されます。
・Child-Pugh A:肝機能が良好であるため、外科的切除や肝移植、ラジオ波焼灼療法(RFA)などの積極的な治療が適応されることが多い。
・Child-Pugh B:中等度の肝機能障害があるため、治療選択肢が制限されることがあります。これらの患者には、肝動脈化学塞栓療法(TACE)や低リスクな治療法が選ばれることが多い。
・Child-Pugh C:重度の肝機能障害があり、積極的な治療が困難な場合が多いため、症状緩和や支持療法が中心となることがある。
肝移植
肝移植は、患者さんの肝臓を全て取り除き、ドナーからの健康な肝臓を移植する治療法です。日本では、近親者から肝臓の一部を提供する「生体肝移植」や脳死後のドナーからの「脳死肝移植」も行われていることがあります。
肝移植による治療は、ミラノ基準(5cmのがん1つ、または3cmのがんが3個以下)や「5-5-500基準」(5cm以内のがん5個以内、AFP500ng/mL以下)を満たす場合に適用されます。
薬物療法
全身薬物療法では、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を使用して進行性がんを治療します。
薬物療法は、肝切除や肝移植などほかの治療が適用できない場合、患者さんの身体の状態や肝機能が良好である(Child-Pugh分類A)場合に推奨されます。
放射線治療
放射線治療は、標準治療としては確立されていませんが、手術や局所療法が困難な場合に利用されることがあります。
特に骨への転移がある場合や脈管内への広がりが見られるがんに対し、痛みの緩和やがんの進行を抑える目的で行われます。
緩和ケア・支持療法
緩和ケア・支持療法は、がんと診断されたときから始まり、がんや治療による心身の苦痛や社会的な悩みを軽減させます。
これには、症状の管理や副作用の緩和が含まれ、終末期だけでなく治療全過程で利用可能です。
肝臓がんの予後
肝臓がんの予後は病期によって異なります。
病期Ⅰでは3年生存率が約81.7%、5年生存率が44.5%、病期Ⅱでは3年生存率66.1%、5年生存率44.7%、病期Ⅲでは3年生存率36.6%、5年生存率27.1%となります。
特に病期Ⅳでは、3年生存率がわずか4.9%に留まりました。
肝臓がんはほかのがんよりも再発リスクが高い傾向にあり、長期的な観察と対策が必要とされています。

