あなたの毎日は、どうですか?
「朝起きるのがつらい…」
「仕事のことを考えると、なぜか胸がざわざわする…」
「休みの日も、疲れが取れた気がしない…」
もし、あなたがそんな風に感じているなら、それは決して「気のせい」ではありません。
そして、何よりも、あなたは一人ではありません。
医療・福祉の現場で働く私たちは、常に誰かの命と生活に寄り添い、多大な責任とプレッシャーを背負っています。
その使命感は私たちの誇りですが、同時に、静かに心を蝕む疲労やストレスの温床にもなり得ます。
このコラムは、今、まさに疲労の淵にいるあなたへ向けた、心のSOSを見つけるための手引きです。
あなたの感じるその「つらさ」が、なぜ生まれるのか。
それは、単なる肉体的な疲れではない、もっと深いところにある「心の傷」かもしれません。
1. 身体が悲鳴を上げているサイン
医療・福祉の仕事は、驚くほど体力を使います。
夜勤、早番、遅番の繰り返しは、体内時計を乱し、慢性的な睡眠不足を招く大きな原因です。
夜勤明けの深い疲労感は、脳や筋肉の回復を妨げ、気づかないうちに疲労を蓄積させていきます。
<理学療法士のAさんの場合>
Aさんは、多岐にわたる症例に対応するため、常に新しい知識を学び続けるプレッシャーを感じていました。
その上、多忙な業務に追われ、自己研鑽の時間が取れないことに心身ともに疲弊し、モチベーションを失っていきました。

ある日、「自分が成長している気がしない」という停滞感に襲われ、将来への漠然とした不安が膨らんでいったと言います。
移乗介助や体位交換、入浴介助といった重労働は、腰痛や肩こり、関節痛といった慢性的な痛みの原因となります。
特に、人手不足の現場では、十分な休憩が取れず、心身の回復が不十分なまま次の業務に向かうこともしばしばです。
これは、単に体が疲れているということではありません。
あなたの体が、「これ以上は無理だ」とSOSを発しているサインなのです。
2. 心が擦り切れていく理由:責任感と現実のギャップ
利用者さんの命や健康を預かる仕事は、常に緊張状態が続きます。
この強い責任感は、私たちをプロフェッショナルとして支える根幹であると同時に、精神的なプレッシャーの重荷でもあります。
<介護職のBさんの場合>
食事介助の時間。
「飲み込みがゆっくりな方がいるのに、私の介助が遅いと責められる」と感じていました。
オムツ交換の際には、抵抗の強い利用者さんに「叩かれたり引っ掻かれたりする」こともありました。
Bさんは「早くやる工夫はしている。でも、喉に食べ物が詰まったら怖いし、移乗で怪我を起こしてしまうのも怖い」と、常に恐怖と戦いながら仕事を続けていたのです。
<看護師のCさんの場合>
Cさんは、学生時代から憧れていた小児科への転職を志しました。
しかし、「小児科の現場を軽んじている」と不採用になってしまった経験から、プロとしての自信を失いかけていました 。
そして、転職した職場で人間関係に悩み、「こんな看護をするために勉強してきたんじゃない!」と強い憤りを感じるようになりました。
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このように、私たちの心を擦り減らすのは、業務そのもののつらさだけではありません。

「利用者のことをもっと考えてあげたいのに、時間に追われて流れ作業のようになっている」
「質の高いケアが提供できないのは、自分のスキル不足のせいだ」
「この仕事を続けることで、本当にやりたかった看護や介護ができなくなってしまう」
このような「理想の自分」と「目の前の現実」との間に生まれる深いギャップこそが、私たちの心を最も深く傷つけ、「充分な看護・介護ができていない」という無力感につながっていくのです 。

