注文したカツ丼の衣をはがしてみると、中から「ナマ肉」が出てきた──。そんな飲食店でのトラブルがXに投稿されて、大きな驚きを呼んでいます。
投稿者によると、店でカツ丼を注文したところ、肉が赤いままであることに気づいたそうです。店員に「カツ丼の肉が赤い」と伝えたものの、当初は否定され、突き返されたといいます。
納得できず、肉を並べて衣を剥がし、実際に確かめて噛んでみると、「芯まで火の通っていない生肉」だったそうです。再度指摘すると、店側はようやく「作り直す」と申し出ましたが、投稿者は食中毒への不安から拒否したと説明しています。
投稿には「衛生管理がお粗末だ」との批判も添えられ、一緒に投稿された写真でも、たしかに赤みを帯びた肉に見えます。
SNSでは、食中毒を心配する声も相次ぎました。
「これはあからさまな生肉ですね」
「これどうなってる…?カツ丼作った事ある人ならわかるけど、工程的に揚げて煮るのにこんな生な事ある…?普通に中が生の揚げ物作った事あるけどもうちょい外側火入ってね…?」
こうしたケースで、一般的にはどんな法的問題が生じるでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。
●作り直しも返金も求めることが可能
──カツ丼の肉が生だった場合、作り直しや返金を求めることはできますか。
今回のように、衣を外したら生肉だったというケースは、提供段階での加熱不十分が強く疑われます。
カツ丼は通常「揚げる→煮る」という二段階の加熱を経るため、中心部が赤いまま提供されることは通常考えにくく、調理過程やチェック体制に問題があった可能性があります。
結論として、「作り直し」や「返金」を求めることが可能です。
飲食店との間では「安全に食べられる料理を提供する」「それに対してお金を払う」という契約が成立しています。
生焼けのカツ丼はその内容に適合しません。これは民法562条1項の「契約不適合」にあたり、消費者は料理の提供を受けずに返金を求めることができます。
店側が作り直しを提案するのは当然の対応ですが、衛生面への不安が残る場合、受け取りを拒むことも法律上問題ありません。
●食中毒が発生すれば損害賠償も
──生肉を食べたことで食中毒になった場合、治療費などの賠償を求めることはできますか。
飲食店は、食品衛生法や民法上、安全な食品を提供する義務を負っています。
加熱不十分により食中毒が発生した場合、店側の過失が推認され、治療費や通院交通費、休業損害、慰謝料などを損害賠償として請求可能です。
保健所が調査に入るケースも多く、提供された食品から原因菌が確認されれば、店側の責任はより明確になります。
今回の投稿のように、見た目で明らかに生とわかる場合は、「提供時点で危険性があった」という点がとくに問題になります。生焼けの豚肉はサルモネラ属菌による下痢や嘔吐などのリスクもあり、消費者が警戒するのは当然です。
飲食店には、調理過程や最終チェックを含む衛生管理の徹底が求められます。今回のケースを機に、各店での体制見直しが進むことを期待したいところです。
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。Xリーグ選手でもある。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/

