追い出されるように
それから数日後。中村さんの家の前に、大きなトラックが静かに停まっていた。
「中村さん……これって?」
「引っ越すことにしたの。とはいえまだすぐに家が決まらないから、まずは実家に荷物を運んで、ゆっくりしようと思ってる」
そう言って笑った彼女の目は、もう泣き疲れていた。
「え!中村さんお引越し~?寂しくなっちゃうわ」
自宅の門から大きな声で話しかけてくる東城さん。その目は寂しいどころか笑っていた。
「中村さんと仲良しの佐藤さんは、もっとさみしいでしょうね~」
その言葉で「もしかしたら次は私が標的かも」と感じ、背筋が寒くなる。中村さんを乗せたトラックゆっくりと角を曲がり、見えなくなる。その後ろ姿に、私はただ祈ることしかできなかった。
(中村さんに平和が訪れますように…)
夢のマイホームでの穏やかな新生活だったはずが、いつの間にか恐怖に怯える生活へと変わっていた。
(私は負けない、絶対ここでの暮らしを守りたい…)
日が落ちつつも、まだ街灯が灯らない街の暗がりの中で、私は決意だけを胸に灯した―――。
あとがき:奪われた日常、残された恐怖
第1話では“違和感”だったボスママの存在が、この第2話でははっきりと“恐怖”へと変わります。家族を守りたいだけの普通の主婦が、周囲の視線と噂によって街を追われてしまう。噂は目に見えないのに、人を深く傷つけ、生活を奪ってしまうものです。
中村さんが去ったことで、主人公の逃げ道はひとつ消えてしまいました。次は誰が―――その答えは、もう主人公の目の前に迫っています。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

