
■6割以上が耳の違和感を放置!「いずれ治る」と過信する傾向も
調査の末、耳の不調の症状として多く挙がったのは、「耳が詰まったような感覚」「聞こえにくい」「キーンやピーといった高い音が聞こえる」といったもの。さらに、7割以上が「日常生活で困ったことがある」と答えており、ほかにも「聞き返すことが増えた」「集中力が落ちた」「寝付きにくくなった」など、生活面での支障を感じる人も多かった。



また、耳に違和感を感じた人のうち、65.6%が「特に何もしなかった」と回答しており、多くの人が症状を放置している実態が明らかに。その理由として、「いずれ治ると思った」「年齢のせいだと思った」「生活に支障がなかった」が上位に挙がり、耳の不調を軽視する傾向がうかがえる。


そして、「健康診断を除き、年に1回以上定期的に医療機関を受診しているか」を尋ねたところ、「歯科」は43.3%、「眼科」は14.2%に対し、「耳鼻科」はわずか8.4%にとどまった。耳は変化に気づきにくく、見た目にもわかりづらいため、ほかの部位に比べてケアの優先度が低くなっているようだ。

耳やその周辺のストレッチ、耳によいとされるサプリの摂取、耳ケア用市販商品の使用などのセルフケアについて尋ねたところ、92%が「行っていない」と回答。その理由は「特に理由はない」(65.5%)、「何をしていいかわからない」(23.3%)が多く、耳のケアが習慣化していないだけでなく、方法を知らない人が大多数であることが明らかになった。


■耳の違和感を感じたら、早めの受診を
調査結果に対して、川越耳科学クリニック 院長で埼玉医科大学 客員教授の坂田英明さんは、「突発性難聴は自然治癒が望めないケースが多く、放置すると回復が難しくなります。片耳の聞こえ方に違和感を感じたら、早めに耳鼻咽喉科を受診してください」と警鐘を鳴らす。
坂田さんによると、内耳や脳神経に障害が出る感音難聴や混合難聴などは、治療しても聴力の回復が難しい場合があるという。一方で、物理的な障害による伝音難聴は治療で改善が見込めるため、日ごろからのセルフケアで早期に異変に気づき、早めの治療を受けることが重要なのだとか。

耳は、会話や音楽など“社会とのつながり”を支える大切な感覚器官だ。聞こえにくさは自信の喪失や消極的な態度にもつながりやすく、生活の質にも影響を及ぼす。今回の調査は、そんな耳への無関心が進む現状を映し出した。違和感を放置せず、日常の小さな変化にも耳を傾けることが、健やかな毎日への第一歩となりそうだ。
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