「パンの代わりに石、むしろ毒薬」再審法改正で研究者135人が声明、法制審の議論に強い危機感示す

「パンの代わりに石、むしろ毒薬」再審法改正で研究者135人が声明、法制審の議論に強い危機感示す

●「証拠は公共財」「広い開示がいかに重要か」

証拠開示の範囲について、声明は「そもそも刑事事件における証拠は、犯罪の存否・行為者の特定のために収集された一種の公共財であり、その収集者(警察・検察)が独占すべきものでない」と批判した。

そのうえで、新たな証拠開示が再審無罪に大きく影響した「袴田事件」などの過去の実例を挙げながら、「いずれも請求人側が存在を知りえない証拠なのであり、再審請求における証拠開示を広く認めることがいかに重要であるかを示唆している」とした。

●「検察官には不服を強いる資格などない」

さらに声明は、裁判所の再審開始決定に対して、検察官が抗告する運用について「検察官は再審請求手続の訴訟主体ではないから、本来、抗告の権限も持っていないというべきである」と制度の根本的見直しを求めた。

法制審で「法的安定性」を重視する意見が出ていることに関しては、「判決の確定に軽視できない重要性が存在することも確か」としつつ、「正しい事実認定によらない限り有罪とされてはならないということの保障も含意されていることを見逃してはならない」と牽制した。

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