最近、服を捨てて後悔することが増えた
これはあくまでも筆者個人の体感ですが、最近、服を捨てて後悔することが以前よりも増えたように感じます。それは、服の趣向が変わったからとか、捨てるべき服の見極めが甘くなったとか、そうした取捨選択の問題だけではないような気がしています。というのも、私は毎シーズン衣替えの季節にかかわらず、何か服を一着購入したら一着は捨てるというようにこれ以上クローゼットがパンパンにならないように調整をしているからです。
残す服、捨てる服の選び方の趣向が多少変わったとしても、5年前と今とで取捨選択の仕方は大きく変わってはいません。筆者が手放す服の基準は一貫して、デザイン的に古くなって着ないもの・傷んでいるもの・状態は良いけど趣味ではなくなったものです。しかし、ここ数年はとくに最後の「状態は良いけど趣味ではなくなったもの」を捨てるときに、後悔することが増えました。
原因はおそらく「昔のほうが服の品質が良いものが多かった」からではないかと考えています。例えばですが、昔3万円で購入したワンピース。デザインも形も自分の趣味ではなくなったので手放した。けれど、あの素材の質、縫製の状態の良いワンピースを今、同じ3万円台で探そうと思ってもなかなか見つからないのです。これはとくに、コートやワンピースといった単価の高いアイテムで起こりがちですね。
デザイン・形が古くても、残すべき?
では、どういう服なら残すべきなのでしょうか。たとえ状態が良くて高品質な服でも、身につける自分にときめきがなくなってもう着ない服なら、タンスの肥やしになってしまうだけですよね。しかし、その「ときめき」は時間とともに変わることがあります。今はデザインが古いから着る気にはなれない。そんな服を長く持ち続け、改めて見直してみると「意外とこれは今の時代にもう一度、着られるかもしれない」となる服も少なからず存在します。
また、5〜10年前ぐらいまでは、高品質で状態の良い服が、それなりに手頃な価格で手に入っていたので、ときめきが薄くなって捨ててもまた新しく手頃な価格でお気に入りの服を新調すれば良かったのです。
しかし今のアパレル市場は、高品質な服はより高く、ペラペラな服は圧倒的に低価格といった、コストの二極化が本格化しています。昔のように、2〜3万円台で品質の良い服がゴロゴロしているわけではないので、捨てるか否かの判断はより一層厳しく審査をするほうが、後悔のない選択をできるのではないでしょうか。

