再審法改正に学界から相次ぐ懸念 法学者4人も意見書「立法事実踏まえた改革を」、「第四審」論者も批判

再審法改正に学界から相次ぐ懸念 法学者4人も意見書「立法事実踏まえた改革を」、「第四審」論者も批判

●「『第四審論』は理論的意味がない」

袴田さんの冤罪事件では、第2次再審請求で2014年3月に一度再審決定決定が出たにもかかわらず、検察官が不服申し立て(抗告)したことで取り消され、最高裁による差し戻しなどを経て、再審開始決定が確定するまでに約9年もかかった。

意見書はこうした過去の実例に言及し、法制審議会で検察官の抗告を禁止する案に反対する意見があることについて、「このような立法事実を踏まえたものであるのか、大いに疑問である」と批判した。

さらに意見書は、法制審の議論が判例を正確に理解したうえでおこなわれていない点も問題視している。

証拠開示を広く認めるべきだとする主張に対して、法制審の一部の委員が「実質的には再審請求審を第四審とするもの」などと発言していることについて、意見書は次のように指摘している。

「通常審においても、事実認定問題を検討する判断基準・方法は審級により異なるため、『旧証拠を洗いざらい評価し直した上、新旧証拠の総合評価を行』うことが新たな審級を加えたことを示すわけではない」

そして、「一定の策をとると再審請求審が『第四審』と化してしまうという主張は理論的意味を有しない」と切り捨てたのに続けて、「第四審論」を主張する委員が検察官や裁判官出身者に限られているとして「法制審議会という場においてはスローガンの使用をやめるべきである」と批判した。

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