立花孝志氏が逮捕致傷罪で書類送検…応援演説中に「私人逮捕」呼びかけ 法的な問題を整理

立花孝志氏が逮捕致傷罪で書類送検…応援演説中に「私人逮捕」呼びかけ 法的な問題を整理

●「致傷」は因果関係の立証が必要となる

次に、「逮捕」が認められるとしても、「致傷」まで認められるかが問題になります。

「致傷」を認めるには、怪我をしたこと自体の立証のほかに、拘束行為から負傷結果が生じたことの立証も必要となります。

報道によると、被害者とされる男性は頸椎を捻挫したとされているようです。捜査側としては、この捻挫についての診断書と、この捻挫がこのときの拘束行為から生じたという点についての立証が求められます。

もしそのような立証ができない場合には、「致傷」ではない逮捕罪となります。

●「私人逮捕」として正当な行為とされるのか

立花氏側は、男性が演説を妨害していたとして、拘束行為を正当な行為だと主張しているようです。

「現行犯逮捕」(刑事訴訟法213条、214条)は、私人が行うことも可能です。

ただし、私人による現行犯逮捕として正当なものとされるためには、現行犯逮捕の要件を満たしている必要があります。

まず、「現行犯」にあたるかですが、男性が「選挙の自由妨害罪」(公職選挙法225条)などの現行犯であることが明白であったかが問題となります。

同罪は選挙の自由を保障するための規定ですので、単に演説に対してヤジを飛ばした、というだけでなく、実際に選挙活動の自由が侵害されているといえる程度である場合に「妨害」にあたると考えられます。

次に、逮捕には「逮捕の必要性」が必要です。

刑事訴訟規則143条の3は、通常の逮捕について、「被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるとき」に逮捕を認めないことを規定しています。現行犯逮捕では明文の規定はないものの、同じように逮捕の必要性がなければならないと考えられています。

今回の事例では、男性の行為が選挙の自由妨害にあたることが明白だとされたとしても、上のような逮捕の必要性があるかどうかが問題となります。

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