セレンの効果
甲状腺機能
甲状腺は体内の他の臓器よりもセレン濃度が高く、ヨウ素と同様に、セレンも甲状腺ホルモンの合成や代謝に重要な働きをしています。甲状腺疾患は女性に多い傾向があるため、女性にとって特に重要な効果があると言えるかもしれません。
DNA生成
セレンはDNA生成に必要な栄養素とされています。また、セレンは抗酸化酵素の構成要素であり、この働きによってDNAは酸化ストレスから保護されると考えられています。
生殖機能
セレンは男性の精巣の発達を促し、男性ホルモンの分泌を増やす働きがあります。また、精子の形成や運動能力にも関与しています。セレンが不足すると、男性不妊の原因となる可能性があると指摘されています。これは、セレンが精子を酸化ストレスから守る抗酸化作用を持つためと考えられています。酸化ストレスは精子の質を悪化させる要因の一つであり、セレンなどの抗酸化物質を適切に摂取することで、精子の状態が改善し、妊娠率の向上につながる可能性が示唆されています。
胎児への影響
環境省の子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)の研究成果によると、妊婦の血中セレン濃度と4歳までの子どもの神経発達との関連が示唆されています。具体的には、母親の血中セレン濃度が高すぎても低すぎても、4歳までの子どもの粗大運動能力の発達の遅れや、問題解決能力の発達の遅れが見られる可能性が報告されています。
肌の健康維持
セレンは、肌の健康維持にいくつかの影響を与える可能性があります。強力な抗酸化作用により、肌の老化の原因となる活性酸素を除去し、シミやシワの予防に役立つと考えられています。また、セレンは有害ミネラルの解毒を促す働きもあるため、肌の健康を間接的にサポートする可能性があります。一方で、セレンが不足すると皮膚炎や乾燥といった肌トラブルが生じることがあり、過剰に摂取した場合も発疹などの皮膚症状が現れることがあります。
セレンが不足すると現れる症状
日本人の通常の食生活でセレン不足が問題になることはほとんどありません。セレン不足は土壌中のセレン濃度が極端に低下している地域において起こると考えられています。
克山(けしゃん)病
克山病は、かつて中国の一部地域で多く見られたセレン欠乏による疾患で、心筋障害(心筋壊死や心筋症)を特徴とします。発症予防にはセレンの適切な摂取が重要ですが、既に症状がある場合には医師の診断と治療が必要です。心臓に関する症状が見られる場合は、循環器内科を受診してください。
心血管疾患
心血管疾患では、心筋症、心不全、不整脈などの症状が現れることがあります。セレンは心筋の健康維持に関与しており、欠乏している場合には補給が検討されることがありますが、治療の基本は医師の診断に基づいた薬物療法や生活習慣の改善です。症状が見られる場合は、早めに循環器内科を受診し、適切な治療を受けましょう。
甲状腺疾患
セレン不足は甲状腺機能低下や橋本病に関与します。特に女性でセレン(およびヨウ素)の血中濃度が低い人は、甲状腺に異常をきたすかもしれないことが示唆されています。倦怠感や体重変化などの症状がみられ、セレン補充療法や甲状腺ホルモン補充療法が行われます。内分泌科や甲状腺専門外来を受診し、食事やサプリメントの使用状況を伝えましょう。

