大動脈解離発症後の注意点
大動脈解離の発症後は、再解離や合併症の予防のため、日常生活でもいくつかの注意点があります。以下の5つが特に重要です。
血圧を安定させる
再解離や瘤化を防ぐためには、安静時の血圧を130/80 mmHg未満に保つことが目標です。処方された降圧薬をきちんと服用し、家庭でも毎日血圧測定を行って記録する習慣をつけましょう。良好な血圧のコントロールは、再解離の発症を約3分の1に減らすとの報告があります。
過度な運動を避ける
急激な血圧上昇を招く運動(重量挙げ、激しいスポーツなど)は避けましょう。慢性期で状態が安定している場合は、ウォーキングや自転車などの軽〜中等度の有酸素運動が推奨されますが、運動中の収縮期血圧が150mmHg(できれば130mmHg)を超えないよう、医師と相談しながら実施します。
定期的な検査を受ける
解離の進行や瘤化を早期に発見するため、CTやMRI検査などを定期的に受けて経過を観察することが重要です。
口腔ケアと感染対策
手術で人工血管やステントを留置した場合、感染症は重大な合併症を引き起こすリスクになります。歯周病があると菌が血流に乗って人工物に付着することがあるため、歯科での定期的なチェックと日頃の口腔衛生管理が不可欠です。
生活習慣の見直し
喫煙・高血圧・脂質異常症・糖尿病・肥満といった動脈硬化のリスク因子を改善しましょう。禁煙を徹底し、減塩を意識した食事、適正な飲酒量、十分な睡眠、規則正しい生活を心がけてください。
大動脈解離の代表的な症状や特徴
大動脈解離は、前触れなく突然発症する危険な病気です。症状の出方には個人差がありますが、早期発見が命を救う鍵です。特に以下の症状がみられた場合は、直ちに医療機関を受診してください。
突然の激しい胸や背中の痛み
最も典型的な症状で、「引き裂かれるような」「今まで経験したことのない」痛みと表現されます。痛みは解離の進行に伴って背部や腹部、下肢へ移動することもあります。
高齢者では腰痛程度の軽い痛みにとどまることもあり注意が必要です。このような痛みが出現した場合、自宅で安静にすることは非常に危険ですので直ちに救急車を呼ぶべきです。
失神・意識障害
心臓や脳への血流障害が起きると、突然意識を失ったり、けいれんや意識障害が出現したりすることがあります。これらは心臓の周囲に出血する「心タンポナーデ」や脳へ行く血管が解離することで起こる脳血流低下に起因します。
このような失神を見かけたら直ちに救急要請を行いましょう。救命救急センターや循環器系の専門科での緊急対応が必要です。
神経症状(麻痺・ろれつ障害など)
大動脈解離が脳を栄養する血管に及んだ場合、脳梗塞のような症状(麻痺、言語障害)が出ることがあります。下行大動脈が障害されると、両足のしびれや麻痺が出現することもあります。このような症状があれば循環器内科や心臓血管外科、救急科をすぐに受診してください。

