レーベル移籍は大きなターニングポイント
―一方で、制作で悩んだ曲はありますか?
岩田 この1曲というわけじゃないんですけど、今回は特に作詞で悩むことが多かったです。というのも、自分のことを歌うとなると内容が似てきちゃったり、ワード・チョイスがかぶってきてしまう部分があって、そこは今後の課題ですね。
「Work It Out」はギリギリまで作業を詰めていきました。もともと全然違う曲だったんですけど、ライブを想定して考えると曲の立ち位置みたいなものがわからなくなってしまって、だったら全部変えちゃおうってことを作家さんと一緒に取り組みました。結果的に、望んだものに仕上がりました。
―では、全曲そうだと思いつつ、あえて思い出深い曲を挙げるならどれでしょう?
岩田 かなりチャレンジしたのは「CROWN」ですかね。この曲は、普段から自分が聴いているサウンド感にも近いんですが、とあるサバイバルオーディション番組に提供した曲でもあって。番組の一環で、ティーンの子たちの音源が自分よりも先に出ているんですよ。そういう意味でも、これまでにない試みになった曲になっています。他にも「時計」はめっちゃ歌謡曲なんですけど、これもアルバムだからこそできる表現ですし、みんなに歌ってもらえる曲になったんじゃないかと思うので、注目してほしいですね。
ジャケットは画材も描き方にもこだわりが
―今回、アルバムのアートワークは岩田さん自身が描かれたものですね。宇宙飛行士の絵ですが、どのように描かれたんですか?
岩田 今回のジャケットを描くときに考えたのが、パッと見で誰もが宇宙だってストレートに伝わるものがいいと思ったんです。それで宇宙飛行士だろう、と。宇宙には色んな都市伝説めいた不思議なエピソードがあったり、奇妙な印象があるじゃないですか。そんな幼少期にいだいていた宇宙に対するイメージもエッセンスとして入れたいと思って、ヘルメットを取ったら中からエナジーがバーッと出ているような感じにしようと。あの部分は描き方もこだわっていて、筆も使っていないんですよ。両側をテープで留めて、そこに2種類の画材を流し込んでいるんです。少し乾いてきたら、次に入れたい色を指や爪でスーッと描いたりしてリキッド感を表現していきました。あとは歯ブラシを使ったりだとか。いろいろと試行錯誤しながら描いていったんです。
―宇宙飛行士の横に記号のようなマークがうっすら見えるんですが、これは記号ですか?
岩田 そうです。ちょっとミステリアスな感じを出したくて五芒星みたいなモチーフを描こうと思って。ペンキで描いて光沢感を消した後からアクリルを塗ったりしているので、よく見ないと気づかないようになっているんですけど、そんな立体感も楽しんでほしいと思って。このあたりは原画じゃないと届けられない部分もあると思うので、いつか見てほしいですね。
【NZメモ】ラグビーの聖地として知られる「イーデン・パーク」は、オークランドにある国内最大のスタジアム。ナショナルチーム「オールブラックス」はニュージーランド国民の誇りなのです。

