シートベルトカッターとガラスハンマーが1つになったものがおすすめ
車内に準備しておきたいこととは?
自然災害は、家の中だけで起こるものではありません。地震や大雨などは、外出中や車で移動している最中にも発生する可能性があります。
実際に過去の災害でも、道路の冠水や渋滞により車中で長時間過ごすケースが相次ぎました。「もし車の中で被災したら?」と考えると、家の防災とはまた違った備えが必要です。
私自身、子どもを連れて移動している際に急な大雨に見舞われたり、渋滞で数時間車内に閉じ込められたりした経験があります。そんな経験から、「車にも一定の防災アイテムを積んでおくこと」が欠かせないと感じるようになりました。
今回は、普段の外出でも役立ち、災害時には“命を守る備え”になる車用防災アイテムをご紹介します。特に小さなお子さんのいる家庭では、車が“もうひとつの避難場所”になる可能性があるため、できる範囲の備えがおすすめです。
窓、ドアが開かない!緊急時に備える「シートベルトカッター付きガラスハンマー」
車の防災アイテムの中で、まず最初に準備したいのがシートベルトカッター付きガラスハンマー です。ネットショップだと数百円程度から、カーショップだと1,000円ほどで購入できます。
大雨による冠水や事故時、ドアや窓が開かなくなる事例は少なくありません。車は水に浸かると水圧でドアが開かなくなり、すぐに脱出が必要な場面が生じます。
先がハンマーになっている
しかしガラスハンマーがあれば、サイドガラスを割って車外に出ることができます。さらにシートベルトカッターがついているタイプなら、シートベルトが外れない時も即座に脱出可能です。
スライドさせるとシートベルトが切れる仕様
災害時は、冷静にシートベルトを外す余裕がないこともあります。特に子どもを連れていると、お互いがパニックになって、落ち着いて対応ができなくなってしまうこともあり得ます。これは大きな不安材料 になりますよね。そうならないために、万が一の時にすぐに手の届く場所にシートベルトカッター付きガラスハンマーを置いています。
私の車では、運転席だけでなく後部座席にも取りやすい位置にガラスハンマーを設置しています。使う機会がないのが一番ですが、万が一の時には命を守ってくれるアイテムです。
「圧縮タオル」は衛生面でも大活躍
車に常備しておきたいのが圧縮タオルです。手のひらサイズの小さなタオルが、水を含ませるだけでふくらみ、普通のタオルとして使えるアイテムです。100円ショップなどで購入できます。
ダイソーの圧縮タオルはサイズも豊富
避難中だけでなく、ふだんのおでかけにも役立ちます。
• 子どもの嘔吐
• 汚れた手をふく
• 車内での簡単な清拭
• 車内での着替えの目隠し
• 停電時の避難所での衛生対策
とにかく用途が広いのが魅力です。ラムネほどの大きさなので、私はポーチに20枚ほどまとめて入れ、車のダッシュボードに入れています。薄くて軽く、スペースを取らないので“積んでおくハードル”が非常に低いのもポイントです。
衛生環境を保てるかどうかは、避難生活の快適さに直結します。圧縮タオルは「使っても惜しくない・すぐ補充できる・安い」の三拍子がそろった便利アイテムです。
寒さ対策の基本。ブランケットとアルミブランケットはセットで
冬の移動中の被災は、寒さとの戦いになることがあります。特に停電やガソリン不足などで車のエアコンが使えない場合、体温を守るアイテムが必須です。

そこでおすすめなのがブランケットやアルミブランケットです。
• ブランケット:肌ざわりが柔らかく、体にフィットしやすい
• アルミブランケット:体温を逃さず、体を包むことで熱を保つ
この2つを重ねて使うことで、寒さ対策の効果が飛躍的に上がります。
アルミブランケットは薄く小さく収納できるため、車載でもまったく場所をとりません。ブランケットは普段の外出でもひざ掛けとして使えるため、夏以外のシーズンは常に積んでいる家庭も多いかもしれません。突然の車内泊や長時間の渋滞でも体を冷やさない備えは重要です。
小さな子どもと車移動が多い家庭に。おむつ・着替え・ビニール袋は必須
小さなお子さんがいる家庭では、おむつ・着替え・ビニール袋は必携アイテムです。特に災害時はトイレ環境が不十分になることが多く、車内で数時間過ごす可能性もあります。そんな時に、おむつや着替えがあるかないかで安心感が大きく変わります。
サイズアウトしたおむつは簡易トイレに使える
ビニール袋は以下のように万能に使えます。
• 汚れ物を入れる
• 簡易トイレとして使う(新聞紙を入れると吸水性UP)
• ゴミ袋
• 非常時の雨よけ
特に子どもが突然汚してしまった場合、ビニール袋がないと処理に困ります。100均で買える大きめサイズの袋を車に常備しておくと便利です。

わが家では、子ども用の車用お世話セットを防災セットとして車に常備し、おむつ・おしりふき・着替えをまとめて入れています。普段のおでかけにも使えるため、無駄がありません。
“飲み物と軽食”の持ち込みは習慣に。車は小さな避難場所になる
車用防災の中でも、特に大切にしている習慣があります。それは、出かける時に必ず飲み物と軽食(おやつ)を持っていくこと。ペットボトル1本と子どもが食べられるおやつなどを車に入れて出発するだけでも、安心感が違います。
飲み物や食べ物を常に持ち歩く意識を
過去の災害では、渋滞で数時間にわたり車から動けないケースが多く報告されています。そんな時、水や軽食があるだけで体力の消耗を防げます。
特に冬は脱水に気づきにくく、水分補給の重要性が高まります。
非常食というほどではなくても、ちょっとした食べ物と飲み物を持つ。これだけでも、実は立派な防災対策です。
車は“もうひとつの避難場所”。負担なくできる備えから始めよう
車は移動手段であると同時に、災害時には“避難場所”になることもあります。
今回ご紹介したアイテムは、どれも特別なアイテムではなく、手軽にそろえられるものばかりです。「車に1セット入れておくだけ」で、いざという時の安心感は大きく変わります。季節の変わり目や車検のタイミングなど、“見直しの習慣”を作るのもおすすめです。
災害はいつ起きるかわかりませんが、備えは今日から始めることができます。あなたの車にも、できる範囲の“小さな防災”を取り入れてみませんか?
<執筆者プロフィル>
海老原葉月
ライター、整理収納アドバイザー1級
13歳、10歳、1歳の三兄弟を子育て中。東日本大震災、令和元年房総半島台風にて被災した経験から、防災に関する情報を発信。
