ギュスターヴ・カイユボット:印象派を支えた静かな大富豪画家の物語

現在のカイユボット邸は美術館として一般公開

イェールのカイユボット邸、庭園からの眺めイェールのカイユボット邸、庭園からの眺め:Propriété Caillebotte à Yerres, vue depuis le parc.jpg, Public domain, via Wikimedia Commons.

パリ郊外のイェールにあるカイユボット邸は、現在美術館として一般公開されています。当時の食堂、サロン、寝室、そして彼が絵を描いたアトリエまで、すべてが丁寧に修復され、19世紀の空気を今に伝えています。デルフト焼のタイルが並ぶキッチン、緑の布張りのソファが並ぶサロン、そして菜園や温室……。そこに足を踏み入れると、まるで彼が今も庭の手入れをしているかのようです。

メゾン・カイユボットHP

カイユボットの代表作品

『床削り』(1875年)

『床削り』(1875年)『床削り』(1875年):Gustave Caillebotte – The Floor Planers – Google Art Project.jpg, Public domain, via Wikimedia Commons.

ギュスターヴ・カイユボットの代表作『床削り』(1875年)は、新しい家の床を削る3人の職人を描いた作品です。遠近法を強調した構図や、光の表現が印象的で、当時とても話題になりました。上流階級出身の彼が労働者の姿を丁寧に描いたことで、人々に新しい視点の衝撃を与えました。

『バルコニーの男』(1875-76年頃)

『バルコニーの男』(1875-76年頃)『バルコニーの男』(1875-76年頃): G. Caillebotte - Jeune homme à la fenêtre , Public domain, via Wikimedia Commons.

『バルコニーの男』は、弟ルネが窓辺に立ち、外を見つめる後ろ姿を描いた作品です。顔を見せず背中だけで人物を表す大胆な構図が特徴で、日本の浮世絵の影響だと考えられています。感情よりも「一枚の写真のような現実感」を感じる作品です。

『ヨーロッパ橋』(1876年頃)

『ヨーロッパ橋』(1876年頃)『ヨーロッパ橋』(1876年頃):Caillebotte-PontdeL'Europe-Geneva.jpg, Public domain, via Wikimedia Commons.

『ヨーロッパ橋』(1876年頃)は、近代化が進むパリの橋と人々を描いた作品です。自分をモデルにした男性の姿や、強い遠近法で作られた奥行きのある構図が特徴です。まるで写真のように、当時のパリの勢いと都会的な雰囲気を伝えています。

『パリの通り、雨』(1877年)

『パリの通り、雨』(1877年)『パリの通り、雨』(1877年):Gustave Caillebotte - Paris Street; Rainy Day - Google Art Project.jpg, Public domain, via Wikimedia Commons.

『パリの通り、雨』(1877年)は、雨の日のパリの広場を描いた作品です。傘を差す男女が画面の手前に大きく描かれ、濡れた石畳の光や遠近法が印象的。まるで写真のような構図で、近代的な都市の雰囲気や人々の距離感が感じられます。

配信元: イロハニアート

提供元

プロフィール画像

イロハニアート

最近よく耳にするアート。「興味はあるけれど、難しそう」と何となく敬遠していませんか?イロハニアートは、アートをもっと自由に、たくさんの人に楽しんでもらいたいという想いから生まれたメディアです。現代アートから古美術まで、アートのイロハが分かる、そんなメディアを目指して日々コンテンツを更新しています。