肥厚性幽門狭窄症の治療
治療法には、手術と薬物療法があります。血液検査の結果、脱水症や電解質異常があればまずは点滴による治療がおこなわれます。手術と薬どちらの治療を選択するのかは、それぞれのメリットとデメリットを理解し、主治医と相談して決めましょう。
粘膜下筋層切開術(ラムステッド手術)
厚くなった幽門部の筋肉を切り開いて、狭くなった胃の出口を広げる手術です。手術には開腹手術と腹腔鏡手術があります。術後合併症も極めて少なく、傷跡は目立たないことがほとんどです。術後は早い時期から授乳を再開できるため、早期に栄養障害の改善が期待できます。
薬物療法
硫酸アトロピンとよばれる薬を使って、一時的に厚くなった幽門筋を緩める治療です。硫酸アトロピンは胃からは吸収されず、小腸から吸収されるため内服薬ではなく静脈注射する場合が多いです。治療の効果がみられた場合は、手術を回避することができます。
しかし治療に時間がかかるうえ、必ずしも治るわけではありません。手術に比べると赤ちゃんへの負担は少ないですが、嘔吐が収まるまで平均7〜8日かかり治療の間は授乳できないため、栄養不良の状態が長引く可能性があります。さらに退院後にも硫酸アトロピンの内服治療を継続する必要があります。
十分な効果がみられない場合には、最終的に手術が検討されます。
肥厚性幽門狭窄症になりやすい人・予防の方法
男児である、第一子である、家族歴がある場合には、肥厚性幽門狭窄症になりやすいといわれています。原因不明な病気であり、現状、予防することはできません。
生後間もない赤ちゃんが発症する病気であり、成長や発達に関わるため早期発見が大切です。肥厚性幽門狭窄症かもしれないと感じたら、早めに小児科を受診しましょう。
早期発見のために、受診前に保護者が観察しておきたいポイントは以下の通りです。
①どんな吐き方をしているか
赤ちゃんの胃は入口を締める筋肉が弱いため、胃の中のものが食道へと逆流しやすく、母乳やミルクを飲んだあとに吐き出すことがよくあります。ほとんどの場合、授乳後に口からタラーッと流れるくらいです。げっぷと一緒に大量にミルクを吐き出しても、顔色がよく元気であれば問題ないことがほとんどです。
飲んだ分を全て吐くほどに大量に吐くことは少なく、病的でなければ嘔吐していたとしても体重も増えていきます。
赤ちゃんは授乳時に空気を飲み込むため、授乳直後にげっぷを出さないと空気で胃が張り、ミルクを吐きやすいです。授乳後は赤ちゃんを肩に抱き上げ背中をたたき、しっかりげっぷを出すようにしましょう。
肥厚性幽門狭窄症の場合は、噴水のように勢いよく大量に嘔吐することが特徴です。吐いた後はミルクや母乳を欲しがり、飲むとまた吐き戻します。
病院受診時に症状を説明する自信がない場合は、スマートフォンなどで動画を撮影し医師へ見せるとよいでしょう。
②体重は増えているか
赤ちゃん用のスケールは、市の保健センターにあります。また赤ちゃん専門店や大型のショッピングセンターに置いてあることもあります。体重が測れる場合は、出生時と比べて体重がどのくらい増えているかを確認してみましょう。
③脱水症状はないか
赤ちゃんが不機嫌でないか、唇が乾燥していないか、おしっこの量や回数がへっていないか、尿が濃くなっていないかなどを観察しましょう。
関連する病気
代謝性アルカローシス
脱水症腸重積胃食道逆流症胃軸捻転症
参考文献
肥厚性幽門狭窄症|一般社団法人 日本小児外科学会
胃食道逆流症|一般社団法人 日本小児外科学会
八塚正四ほか:臍部到達法による肥厚性幽門狭窄症手術. 昭和医学会雑誌, 67(1), 7-12, 2007
小高明雄ほか: 経口硫酸アトロピン療法が無効のため外科治療を施行した乳児肥厚性幽門狭窄症の検討 . 日臨外会雑誌, 63(6), 1346-1350, 2002

