
監修医師:
渡邊 雄介(医師)
所属
国際医療福祉大学教授
山王メディカルセンター副院長
東京ボイスセンターセンター長
鼻せつの概要
鼻せつとは、鼻の入り口にある毛穴に赤みや腫れ、痛みなどを伴う感染症のことです。
鼻せつでみられる症状は「ピエロのよう」と表現されることもあり、とくに鼻先が赤く腫れあがります。
「癤(せつ)」はいわゆる「おでき」のことで、細菌感染によって毛包に炎症をきたし、部分的に赤みや痛み、腫れなどを認める状態です。このような状態が長期間に渡って繰り返されたり、複数箇所に生じたりするものは「癤腫症」と呼ばれ、さらに重症化して複数の毛包に炎症を伴うものは「癰(よう)」と呼ばれます。
鼻せつの原因になるのは主に「黄色ブドウ球菌」と呼ばれる細菌です。近年では、せつと黄色ブドウ球菌が産生する「Panton-Valentine Leucocidin(PVL)」という毒素が関連していることが明らかになってきました。
PVLは患部の細胞を壊し、その周囲に壊死を起こすことがあります。そのため、PVLの産生された部位では膿を持った膿瘍ができ、赤く腫れて痛みを伴います。
黄色ブドウ球菌自体はありふれた細菌であり、健康な人の鼻粘膜からも検出されます。しかし、黄色ブドウ球菌でもPVLを産生するものは鼻せつの原因になることもあるため、注意が必要です。
鼻せつを認める場合には、抗菌薬を用いた薬物療法が行われるほか、状態によっては患部を切開し、膿を排出する処置が行われることもあります。

鼻せつの原因
鼻をいじったり、鼻をつよくかんだりすることで、鼻の穴の入り口に小さな傷ができてしまうことがあります。その傷から細菌が侵入することで鼻せつが生じます。
鼻せつの原因となるのは主に黄色ブドウ球菌と呼ばれる細菌です。黄色ブドウ球菌は人間の皮膚や粘膜に生息する細菌で、健康な人の鼻粘膜からも検出されます。
黄色ブドウ球菌は49種類存在し、中にはPVLを産生し鼻せつを引き起こすもの(PVL産生黄色ブドウ球菌)もあります。
特に家族内でPVL産生黄色ブドウ球菌を保菌する人がいる場合には、同居する家族に感染させ、鼻せつを発症させてしまう恐れがあります。
(出典:日本細菌学会「黄色ブドウ球菌」)

