アルツハイマー型認知症の初期症状や末期症状とは?メディカルドック監修医が解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
※この記事はメディカルドックにて『「アルツハイマー型認知症の症状」はご存知ですか?初期症状・予防法も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
「アルツハイマー型認知症」とは?
認知症とは、「記憶障害」や「見当識障害」、「判断力の低下」を引き起こす脳の認知機能障害によって日常生活に支障が出るようになった病気のことです。そして、認知症にはさまざまな種類がありますが、最も多いのがアルツハイマー病によって認知症を発症したアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー病は、神経原線維の変化(タウオパチー)、アミロイドの神経細胞への沈着といった病理学的な変化を特徴とする病気です。症状が現れるまでには長い年月がかかるとされています。アルツハイマー型認知症の主な症状としてまず現れるのは、最近の出来事を覚えられないということです。この出来事は記憶障害から始まり、次第に記憶と学習の障害も起こってきます。病気が進行すると、失語や人格変化なども伴うようになります。アルツハイマー型認知症では、初期から、てんかんやけいれん発作などの神経症状を認めることは少ないとされています。
アルツハイマー型認知症と診断されると、その後の寿命は認知症を合併しない場合と比べて半分ほどになるという研究があります。具体的には、診断を受けてからの平均予命は、男性で4.2年、女性で5.7年となっています。
アルツハイマー型認知症の治療法としては、コリンエステラーゼ阻害薬とNMDA受容体拮抗薬という薬が用いられます。
アルツハイマー型認知症の前兆となる初期症状
では、アルツハイマー型認知症の前兆となるような初期症状について解説していきます。
最近のことを忘れる
アルツハイマー型認知症では、最近の出来事を忘れてしまうという初期症状が現れます。
また、MCI(軽度認知障害)というアルツハイマー病の前触れとなるような症状が知られています。MCIの症状には以下のようなものがあります。
・自分自身あるいは周りから見た記憶力の低下
・同じ年齢や教育水準の人と比べた時の記憶力の低下
・全体的な知能は正常
・日常生活は問題なし
・認知症とは言えない
このMCIから年間10〜15%の方が認知症、またはアルツハイマー病に移行するという報告もあります。そのため、同年代の周りの人よりも記憶力が下がっていると感じた場合には、認知症の前触れの可能性もあります。念のため、認知症の専門医を受診するようにしましょう。
同じことを周囲の人に何回も尋ねる
アルツハイマー型認知症の初期症状として、話したことを忘れて何回も同じ話を繰り返すということも特徴的です。
感情的になる、怒りっぽくなる
アルツハイマー型認知症に伴う、行動や心理症状の一つとして、以前と性格が変わってしまうということがあります。怒りっぽくなる他にも、以前は好きだった趣味に興味を示さなくなるという症状も現れることがあります。

