インスリノーマの治療
インスリノーマの根本的な治療は手術による腫瘍の摘出です。
インスリノーマの約90%は他の臓器に転移がなく膵臓のみにできる腫瘍であるため、手術で切除することにより完全に治すことが期待できます。
腫瘍が悪性で他の臓器への転移がみられる場合や、手術のリスクが高い場合、腫瘍がみつからない場合、患者が手術を拒否した場合には、内科的な治療をおこないます。
手術
直径2cm以下で主膵管との距離が3㎜以上離れている場合は、腫瘍だけを取り除く核出術の適応となります。
腫瘍の悪性度が高く広がっている場合は、腫瘍の周りのリンパ節や他臓器の切除を含めた膵切除術が検討されます。
内科的な治療
内科的な治療としては食事指導などをおこない、低血糖を予防します。低血糖症状がみられた場合には、すみやかにブドウ糖を接種することが大切です。
低血糖の予防としてオクトレオチドやジアゾキシドなどの薬を内服することもあります。
低血糖症状の改善が見られない場合には、化学療法による治療を検討されます。
インスリノーマになりやすい人・予防の方法
多発性内分泌腫瘍症(MEN)1型の方では、インスリノーマが発症するリスクがあります。インスリノーマの予防方法は見つかっていません。
インスリノーマは手術により完全に治せる可能性がある病気ですが、中には手術適応とならないケースもあります。重症低血糖になると命の危険に関わるような症状があらわれるので、低血糖症状を起こさないように管理することが重要です。
普段の生活で気を付けておきたいことは以下のとおりです。
①低血糖症状に気づいたら、糖分を接種する
症状に気づいたら、すぐにブドウ糖やジュースなどの糖質をとりましょう。糖分をとった後に症状の改善がみられたら、食事をとりましょう。食事と食事の間が長くなる場合は、間食をとると低血糖を予防できます。
②空腹時での運動を避ける
運動は間食や食事をとってからおこないましょう。激しい運動をおこなう場合や運動時間が長くなる場合には、間食をとりましょう。
③毎食、炭水化物をとる
血糖値は、炭水化物の摂取量に応じて上昇します。毎食、お米やパン、麺類、イモ類などの炭水化物をとるようにしましょう。また欠食せずに、必ず1日3食たべましょう。
④低血糖の原因を振り返る
低血糖を起こしたら、あとから低血糖を起こした状況を振り返り、原因を確認しましょう。原因を把握することで、次から低血糖を起こさないよう注意することができます。
⑤外出時にはブドウ糖を持ち歩く
普段持ち歩くかばんに、ブドウ糖を常備するようにしましょう。持ち歩くことで、低血糖に気づいたときにすぐに対応することができます。
関連する病気
多発性内分泌腫瘍症(MEN)
参考文献
日本神経内分泌腫瘍研究会(JNETS) 膵・消化管神経内分泌腫瘍(MEN)診療ガイドライン 2019年【第2版】
余語覚匡ほか:特集2 ガイドラインからみたインスリノーマの外科治療.日本内分泌・甲状腺学会雑誌 , 33(2), 101-104, 2016
杉山 智洋 ほか:今月の 症例 ジアゾキシド が有効であった高齢者インスリノーマの1例 .日本内科学会雑誌 , 103(11), 2810-2812, 2014
低血糖|国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター

