子どもたちにも及ぶ“影”
そしてその影響は、徐々に子どもたちにまで及んでいった。
「ママ、今日ね……」
ある日の夕飯時、美羽がぽつりと話し始めた。
「優斗くんのお母さんが、また先生に怒ってたって、みんな言ってたよ」
「そうなんだ……どんなことで?」
「わかんないけど、廊下にママがきて、優斗くん、ちょっと泣きそうだったって……」
胸のあたりがじわっと痛くなった。
(そんなこと、子どもたちの前で言わなくてもいいのに)
私が内心でそう思っていると、美羽は続けた。
「みんなね、“また優斗くんのお母さん怒ってる”って……。なんか怖いって」
鳴海さん一人の存在が、こんなに広く影響を与えてしまっている。それでも彼女は、自分の“正しさ”に微塵も疑いを持っていない。
(このままじゃ、子どもたちがかわいそう……)
薄暗いキッチンで、私は小さく息を吐いた―――。
あとがき:“強い声”が飲み込むもの
今回描かれたのは、鳴海さんの主張が「1つの場面」に留まらず、学校生活のさまざまな領域へと広がっていく危うさでした。劇の役、作品展、日常のやり取り──そのすべてに“うちの子が優先されるべき”という前提があるため、周囲は萎縮し、声を上げられなくなっていきます。
大きな声は一時的には場を支配しますが、その影響を最も強く受けるのは子どもたち。主人公が感じていた不安は、クラス全体の未来を暗示しているようにも思えました。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

