「横隔膜ヘルニア」の初期症状と早期発見のポイントを医師に聞く 呼吸困難・腹痛には要注意?

「横隔膜ヘルニア」の初期症状と早期発見のポイントを医師に聞く 呼吸困難・腹痛には要注意?

岡本 彩那

監修医師:
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)

兵庫医科大学医学部医学科卒業後、沖縄県浦添総合病院にて2年間研修 / 兵庫医科大学救命センターで3年半三次救命に従事、近大病院消化器内科にて勤務 /その後、現在は淀川キリスト教病院消化器内科に勤務 / 専門は消化器内科胆膵分野

横隔膜ヘルニアの概要

横隔膜ヘルニアは胸部と腹部を隔てている横隔膜に異常が生じ、腹部の臓器の一部が胸部へ脱出する疾患です。

通常、横隔膜は胸部と腹部の臓器を隔てる役割を果たしていますが、横隔膜ヘルニアでは横隔膜に開いた穴から腹部の臓器が脱出し、胸部に移動します。胸部へ脱出する臓器は、小腸や結腸、肝臓や胃、十二指腸や脾臓などで、欠損している穴の大きさによって脱出する臓器の量は異なります。

先天性と後天性があり、先天性は生まれつき横隔膜に穴が空いているタイプで、後天性は事故やけがなどが原因で横隔膜に穴が開くタイプです。

先天性横隔膜ヘルニアは、2,000〜5,000人の出生に対して1人の割合で発症し、年間を通して200〜300人が発症しています。(出典:公益財団法人難病医学研究財団難病情報センター「先天性横隔膜ヘルニア」)

多くの場合、横隔膜の後外側を中心に発生するボホダレク孔が欠損孔であるため「ボホダレク孔ヘルニア」と呼ばれることもあります。

横隔膜ヘルニアの主な症状は呼吸困難や腹痛、嘔吐などです。

診断にはレントゲン検査やMRI検査、CT検査などの画像診断が主に用いられ、主に手術療法によって治療します。

横隔膜ヘルニアは適切な診断と治療を受けることで良好な予後が期待できるため、早期発見と適切な介入が鍵となります。

横隔膜ヘルニア

横隔膜ヘルニアの原因

横隔膜ヘルニアの原因は先天性と後天性の2つに大別されます。

先天性横隔膜ヘルニア

先天性横隔膜ヘルニアは、胎生8週頃の発育段階において横隔膜が正常に形成されないことで発生します。(出典:小児慢性特定疾病情報センター「先天性横隔膜ヘルニア」)

病因遺伝子的な問題が関与していると示唆されていますが、現段階では明確な原因は解明されていません。

後天性横隔膜ヘルニア

交通事故やけがなどの強い衝撃により、横隔膜が障害を受けて穴が開くことが原因です。
他にも、術後の合併症により横隔膜が損傷されることで穴が開いたり、過度な体重増加による横隔膜への圧力によって穴が開くことが原因とされています。

配信元: Medical DOC

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