横隔膜ヘルニアの前兆や初期症状について
横隔膜ヘルニアの症状は、欠損孔の大きさや脱出している臓器の程度などによって大きく異なりますが、以下のような症状を呈することが多いです。
呼吸困難
腹痛
嘔吐
腹部の臓器が胸部に入り込むことで肺や心臓、縦郭(心臓や気管、食道のある部分)が圧迫されます。それにより、肺が十分に膨らむことができなくなったり、反対の肺まで圧迫されたりすることで、呼吸困難の症状が出現します。呼吸困難が重症化すると、循環不全のような命に関わる状態となる危険もあります。
腹痛や嘔吐は、胃や腸などの消化器官の一部が胸部に入り込むことによる通過障害により出現します。胸やけや吐き気、食欲不振などの症状として現れることもあります。
なお、胎児期に横隔膜ヘルニアによって肺が圧迫を受け、肺の形成が未熟である場合、肺血管を血液が通るときの抵抗が上がり、出生後に新生児遷延性肺高血圧をきたすこともあります。
横隔膜ヘルニアの程度が軽症である場合には、症状を感じないこともあります。
横隔膜ヘルニアの検査・診断
横隔膜ヘルニアの検査方法は以下のとおりです。
超音波検査
画像検査(X線検査、CT検査、MRI検査)
超音波検査は新生児や胎児に対する検査において有用で、心臓の位置に偏りがある所見や胃泡の位置に異常があるといった所見を頼りに発見されることが多いです。
近年では精度が高い超音波検査機器によって、脱出している臓器の判別も可能とされています。
出生後は、呼吸困難や胸郭の膨隆といった横隔膜ヘルニアを疑う所見を確認した場合、X線検査やCT検査などを実施します。
複数の検査結果から、横隔膜の位置や欠損している大きさ、腹部臓器の胸腔内へ脱出の程度などを総合的に判断し、横隔膜ヘルニアの診断につなげます。
診断後は、横隔膜ヘルニアの程度や患者の全身状態などから、適切な治療を選択します。

