横隔膜ヘルニアの治療
横隔膜ヘルニアの主な治療方法は手術で、欠損孔を修復し、腹部から胸部へ脱出した臓器を戻すことを目的としています。
先天性横隔膜ヘルニアでは、肺の圧迫により、生後すぐに呼吸状態が悪くなることがあります。このような場合には、気管挿管などをおこない救命措置が最優先されますが、呼吸や全身状態が安定したのちに、必要な手術が検討されます。
手術方法は、開腹手術と内視鏡を用いた腹腔鏡手術の2つに分かれます。
開腹手術の場合、通常は腹部側を開いてから胸部へ移動している臓器を腹部へ戻したあと、横隔膜の欠損部を修復します。
穴の大きさが小さい場合、欠損している穴を直接縫合する場合もありますが、大きい場合は人工布を用いて穴を閉鎖します。
近年では横隔膜ヘルニアの程度が軽症である場合において、開腹せずに腹腔鏡下のもと手術をおこなうケースもあります。
開腹手術と比べて身体にかかる負担が少なく、術後の回復が早い点が特徴ですが、全ての横隔膜ヘルニアに対して腹腔鏡下手術が適応となるわけではありません。
横隔膜ヘルニアになりやすい人・予防の方法
横隔膜ヘルニアになりやすい人は、以下のような特徴が挙げられます。
外傷を負った人
先天性の横隔膜の脆弱性がある人
横隔膜が欠損するほどの事故やけがなどの外傷を負った人は、横隔膜ヘルニアになりやすいといえます。
他にも、生まれつき横隔膜の強度が低い人の場合においても、横隔膜ヘルニアを発症するリスクが高くなります。
横隔膜ヘルニアは、先天的な原因や偶発的に起こる事故やけがによって発症することが多いため、明確な予防法はありませんが、後遺症や合併症の悪化を防ぐためにも、治療後は継続的にフォローアップを受けることが重要です。
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口唇口蓋裂停留精巣参考文献
公益財団法人難病医学研究財団難病情報センター「先天性横隔膜ヘルニア」
小児慢性特定疾病情報センター「先天性横隔膜ヘルニア」
中嶌雅之他「開心術後に発生した横隔膜ヘルニアの1例」横須賀市立市民病院外科
一般社団法人日本小児外科学会「先天性横隔膜ヘルニア」
奥山友浩他「胃・大網が嵌頓した成人横隔膜ヘルニアの一例」
厚生労働省「294先天性横隔膜ヘルニア」

