虫垂炎の治療後に食生活で気を付けること

虫垂炎の治療後は普段どおりの食生活に戻ってもよいですか?
手術後は腸の動きが一時的に弱くなるため、まずは水分やおもゆなど消化のよいものから始め、様子をみながら普通のご飯やおかずへと段階的に進めます。
ガスや便が出てお腹の張りが落ち着き、合併症がなければ、多くの方は退院後数日から1週間ほどで普段の食事に近い内容へ戻ることができます。抗生物質だけで治療した場合も、痛みや発熱が落ち着けば特別な制限はなく、体調に合わせてもとの食事に戻してかまいません。長期的には、虫垂炎の治療の有無だけで特別な食事制限が必要になることはほとんどありません。
虫垂炎の治療後に推奨される食生活を教えてください
治療後の食生活で大切なのは、腸に負担をかけ過ぎずに栄養をしっかり補うことです。こまめな水分補給で便秘と脱水を防ぎ、主食、主菜、副菜をそろえたバランスのよい食事を意識しましょう。肉や魚、大豆製品、卵などからたんぱく質を十分に摂ることは傷の回復に役立ちます。野菜や果物、海藻、きのこなどに含まれる食物繊維は便のかさを増やし腸の動きを整えますが、術直後から急に増やすとお腹が張る方もいるため、退院後しばらくは少しずつ量を増やすと安心です。脂っこい料理や香辛料の強い料理、アルコールは、体調が安定してから少量ずつ再開するとよいでしょう。
虫垂炎の治療後はコーヒーをたくさん飲んでも問題はありませんか?
治療が終わり、普段どおりの食事がとれていて腹痛や下痢、便秘などの症状がなければ、コーヒーを飲んでも問題ありません。手術で虫垂を切除していれば、コーヒーを飲むことが虫垂炎の再発につながることはありません。健康な成人では、カフェインとして1日400ミリグラム程度まで(一般的なレギュラーコーヒーならおおよそ3〜4杯)が安全とされています。ただし、胃痛や胸やけ、動悸、不眠が出る方はこの範囲内でも量を減らしたほうがよいです。治療後しばらくは1日1〜2杯程度の少なめの量から始めて体調を確認し、問題がなければもとの飲み方に戻すと安心です。
編集部まとめ

虫垂炎は、虫垂の通り道が糞石やリンパ組織の腫れなどでふさがり、内部で細菌が増えることで起こる病気です。現時点で、コーヒーを含む特定の飲み物が虫垂炎の直接的な原因になるという証拠はありません。治療中はアルコールや強い炭酸飲料、エナジードリンクなど刺激の強い飲み物を控え、水や薄いお茶を中心にして回復を妨げないようにすることが大切です。治療後は、十分な水分とバランスのよい食事、適度な食物繊維を意識しながら、体調に合わせて少しずつ通常の食生活とコーヒー習慣に戻していきましょう。飲み方に不安があるときは、自己判断せず、診察のときに普段のコーヒーの量や飲むタイミングを具体的に伝えて主治医に相談することをおすすめします。
参考文献
『Appendicitis(Definition & Facts / Symptoms & Causes / Diagnosis / Treatment)』(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases)
『Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines』(World Journal of Emergency Surgery)
『A Randomized Trial Comparing Antibiotics with Appendectomy for Appendicitis』(New England Journal of Medicine)
『Effect of postoperative coffee consumption on gastrointestinal function after abdominal surgery: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials』(Scientific Reports)
『Scientific Opinion on the safety of caffeine』(European Food Safety Authority)
『The effect of coffee/caffeine on postoperative ileus(Meta-analysis of RCTs)』(International Journal of Colorectal Disease, 2022)
『Comparing Surgery vs Antibiotics – CODA Evidence Update』(PCORI)

