●法制審の方向性「改悪以外の何ものでもない」
共同声明は、過去の再審無罪事件の多くで「捜査機関の下で眠っていた証拠」が決め手になったことに触れ、現行法に検察官の証拠開示義務がないため、「再審によるえん罪救済が極めて困難で、救済できたとしても長期間を要している」と問題点を示した。
さらに、法制審の委員からこうした現状を問題視しない発言が出ていることについて、「現状よりも明らかに証拠開示の範囲を狭める結果をもたらすもので、改悪以外の何ものでもない」と厳しく批判した。
●検察官抗告禁止への反対は「まったく現状の改善につながらない」
検察官の不服申し立て(抗告)についても、共同声明は次のように指摘する。
「再審開始決定は再審が開始されるだけの中間的な決定であり、検察官は再審公判で有罪の主張・立証ができる上、当事者ではないのに不服申立権を認めることは上訴制度一般と整合しない。
検察官抗告を禁止すべしとの意見は、この不服申し立てによってえん罪救済が長期化し、えん罪被害者に回復し難い苦難を与えているという現状、立法事実に根ざしている。これに反対する意見は、このような現状に目を瞑るものであり、これでは全く現状の改善に繋がらない」
最後に共同声明は、「国会には、その目的に沿って、速やかにこの法案の審議に入ることを求める。(法制審の)部会には、現状を見据えた上でその目的に沿った議論を尽くし、我が国の再審制度が真にえん罪救済のための実効性のあるものとなるような答申をされるよう強く求める」と結んだ。

