急性心不全の予防法とは?Medical DOC監修医が急性心不全の原因・症状・予防する可能性の高い食べ物・発症のリスクを上げやすい食べ物・飲み物・予防するために大切な生活習慣・運動習慣などを解説します。

監修医師:
佐藤 浩樹(医師)
北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。
「急性心不全」とは?
急性心不全とは、心臓のポンプ機能が突然低下し、全身に必要な血液を送り出せなくなった状態を指します。短時間のうちに息切れ、呼吸困難、むくみなどの症状が現れ、重症化すると肺に水がたまる肺水腫や血圧の急激な低下を伴い、放置すれば生命に直結する危険な状態です。
急性心不全の主な原因
心筋梗塞、不整脈、弁膜症の悪化などが主な原因です。さらに、感染症、甲状腺機能異常、腎不全、過度の塩分や水分摂取、薬剤の影響などは発症を助長します。代表的な原因を3つ取り上げ、詳しく説明します。
心筋梗塞
心筋梗塞は、冠動脈が詰まって心筋に血液が届かなくなることで起こり、心臓の収縮力が急速に低下して急性心不全に至ります。典型的な症状は、突然の胸痛、冷や汗、呼吸困難、意識消失などで、時間が経つほど心臓のダメージが広がります。救急対応可能な循環器科への速やかな搬送が必要です。発症直後の対応が生死を左右するため、ためらわず救急車を要請しましょう。自己判断での様子見は大変危険です。
不整脈
心房細動、心室頻拍、房室ブロックなどの不整脈は、心臓の拍動リズムを乱すため、十分な血液を全身に送り出せなくなります。その結果、心不全へとつながります。特に心室頻拍や心室細動は心停止に直結するため、救急車を要請し、救急科や循環器内科の受診が必須です。症状が一時的に治まっても放置すると再発や重症化の危険が高いです。そのため、突然の意識消失や動悸が続く場合は、ためらわずに医療機関を受診してください。
弁膜症の悪化
心臓の弁は血液の流れを一方向に保つ役割を担っています。そのため、弁膜症が進行すると逆流や狭窄により心臓へ過度な負担がかかります。特に大動脈弁狭窄や僧帽弁閉鎖不全が急激に悪化すると、呼吸困難、動悸、全身の浮腫が急速に進行し、急性心不全を起こします。症状が急変した場合は救急科や循環器科を速やかに受診することが重要です。また、弁膜症にてすでに通院されている患者さんは、息切れや疲れやすさが強くなった時点で、早めに主治医に相談しましょう。

