
「既婚者と独身の壁」―—。学生時代には気にも留めなかったこの言葉が、大人になると急に現実味を増す。社会に出て働き、結婚や出産といったライフステージが変わるなかで、かつて同じ目線で語り合っていた友人たちとの距離が遠くなると感じる人も多いのでは?今回紹介するエピソードは、そんな“女の友情のこじれ”を真正面から描いた実話である。
■価値観の変化がじわじわと友情を侵食する



仲良し女子4人組の一員だったゆき蔵は、学生時代こそ同じ温度で盛り上がれていたが、結婚・出産を機に少しずつ会話の輪から外れていく感覚を強めていた。唯一気兼ねなく話せたのが、同じアパレル勤務のTちゃん。サバサバしたタイプで、既婚者の中ではもっとも話が合う友人だった。
しかし、ある日の相談でTちゃんは荒れに荒れていた。職場スタッフが突然妊娠したことでシフトが回らなくなり、自分の不安を吐露する連絡が毎日届くという。「こっちの負担も考えてほしい!」と爆発するTちゃんに、ゆき蔵はただ黙って耳を傾けるしかなかった。
■数日後に届いた「妊娠した!」の報告。しかし…
ところが数日後、Tちゃんから「体調悪くて病院行ったら妊娠してた!」という報告が届く。祝福の言葉を返したあと、何気なく「職場は大丈夫?」と尋ねてしまったゆき蔵。すると返ってきたのは予想外の言葉だった。
「は? こんな時に仕事なんかしてる場合じゃないから!」
つい先日まで“妊娠したスタッフのせいで仕事が回らない”と怒っていた本人の発言とは思えないほどの変わりよう。価値観が変わったことは理解できても、あまりの豹変ぶりにゆき蔵は戸惑った。謝罪はしたものの空気は重く、2人の間には大きな距離感が生まれてしまった。
■独身と既婚、その間に立ちはだかる高い壁
当時20代半ばだったゆき蔵の地元では、「結婚=寿退社=子育て」という価値観が今も根強い。既婚・子持ちの同級生がなんと100%という環境で、離婚して独身に戻った彼女は“未知の生物”のような扱いを受けたという。異なる立場になった友人たちと、以前のように分かり合えなくなるのは自然なこと。それでも、Tちゃんのように自分の発言を省みない態度に触れてしまうと、もはや関係の修復は難しい。
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