船長に訊くカワハギ釣りのコツ
「第三十一山下丸」の山下克範船長に、今シーズンのカワハギについて訊いた。
──今季のカワハギ、例年に比べていかがですか?
船長「カワハギはここら辺に着いてるから数は良いんだけど、フグがどうしても多くて。他の地区で釣れてくれれば幅が拡がるんですけど、今のところまだちょっと(季節の進行が)遅れてて、竹岡に依存しているところはありますね。魚は割りといると思います」
──ビギナーやスランプの人に向けてアドバイスは?
船長「カワハギ釣りは待っててもエサを盗られるだけだから、タタキを入れて、キチっと止めて、そっと持ち上げて聞き上げる、みたいのが初心者の方には良いと思いますね。ワッペン釣りはもう特殊技能みたいなところありますからね、真似しろって言ったって出来ないから。慣れてる人は午前中と午後の釣りを変えてたりしますし、一概には言えないですね」
トライ&エラーで手に付けるしかない「ムズ面白さ」こそカワハギ釣りの魅力。アタリが分かり易く、仕掛けの上げ下げも容易な浅場の釣りで、手がかじかむことのない今の時期からの入門は、最盛期を迎える冬場までにスキルアップする最適のタイミングと言えるだろう。この時期は凪も多く、ビギナーから中級者まで技を磨く格好のチャンス。また、替えバリは必携。50本を使い切る釣り人もいるので要注意だ。
釣趣も味覚も楽しめるカワハギ釣り
この日の竿頭は船中1尾目を獲った津牧さんの18匹。平均7~8匹、オデコ(釣果0)ナシという釣果だが、実はホウボウやシロギスなど様々なゲストフィッシュも上がっていてクーラーボックスは賑やか。みなさん笑顔の帰着となった。
とかく“肝パン”“海のフォアグラ”と肝臓の珍味が取り沙汰されるカワハギだが、この時期のカワハギが持つ身の食感と味覚は格別。もちろん、良型を釣れば充分なサイズの肝臓を持っているので、活きている内に血抜きし、締めた後、早めにクーラーへ仕舞う作法さえ気を付ければ、肝和えの滋味を楽しめる。薄造りや湯引きなどの刺身や煮付けはもちろん、唐揚げや塩焼きにしても美味しいので是非お試しを。
まだまだ陽射しの衰えない2025年の秋。こまめに水分補給をしながら、釣り味も食味も満たされる、東京湾の豊穣を満喫頂きたい。

